新マンション事情

118.コミュニテイー形成と管理−車の両輪知言われるが実際の選択は

コミュニティ形成と管理の概念の図

 

 表題はしばしば車の両輪に例えられる。本当にそうだろうか。管理の強弱、コミュニテイー形成の強弱で4象限に分類してみたのが図である。

 A象限の郊外大規模団地を見ると、築20年以内は子育て世代も多いから、子供を通じた人間関係が多いが、子供が居なくなる以降は次第に人間関係が希薄化する場合が多い。管理組合の役員のなり手が少なくなるのが高齢化団地の特徴だが、一部の役員が苦労しながらなんとか修繕体制を持続させる。居住者の収入が減じても中層の大規模団地なら管理費は安いから修繕積立金の大幅不足に陥ることは少ない。将来までは保証できないが、築50年までは陳腐化は避けられないものの目立つほどの老朽団地は少ない。ところが高齢者ばかりになると外出は億劫になるし、近隣とは挨拶以上の会話は少なくなる。年をとれば友人を得るのが苦手になる。多くの団地でサークル活動は下火になる。近年では団地だけでなく、周辺住宅地も空き家だらけで一緒に衰退するから、団地再生は一層困難化している場合が多い。郊外の公的大規模分譲団地の供給は政策的に停止になったから20年未満ストックは加速度的に少数派になりつつある。

 B象限は管理会社任せの場合で、実はマンションストックの大半がこの中に入る。要求された費用さえ払えば、玄関にチリ一つない管理が可能だ。しかもサービスは間口を広げている。管理組合は管理会社さえ監視できれば苦労が少ない。ただし住民が悪徳管理会社、悪徳理事長の被害に合う恐れなしとは言えない。人間関係が乏しいと社会的孤立者を生みやすくなる。適正費用を徴収できない場合は、管理会社は手を抜くか、撤退をする。赤字になってまで面倒を見る必要はないから、管理崩壊に陥る場合が少なくない。

 C象限は地方都市で多く出現しやすい。行政も住民も無関心で、マンション相互の情報交換がなく、気が付いたら手遅れの不良マンション化が進むケースが多い。県民の住宅水準が高い地域では、分譲マンションは相対的に低水準住宅になる。家族向け3LDK住宅でも当初から単身居住や投資物件が多かったりして、中古価格はたちまち下落する。住民のモラルが低下すれば、高所得者からマンション脱出を図る。所有者の行方不明、中古価格の極端な低下は競売の対象にもなりにくいが共同設備が乏しい住宅は水道、ガス、電気の個別管理でも居住可能だ。

 D象限は比較的小規模戸数の低層住宅で生じる。時には屋上や住棟の前後に違法無届増築をし、共有部分が隠された場合は、共同管理の習慣が消える。建て替えも管理組合解散もできないが人間関係はよく、お祭りや定期的な懇親会が開かれている場合がある。建物の共同管理意識がなくても、低層なら管理の低空飛行が長く続く。孤独死は生じにくい。

 ところで、A象限に入る住宅戸数は大都市圏郊外の一部に過ぎず、大半は管理会社任せの住宅だ。その一部が不良化に向かっている。人口減少すればC象限が増える。大変だー。(つづく)


(2017年12月号掲載)
(松本 恭治)