建て替え

コミュニティの力で苦難を乗り越えた建替え事例/Brillia多摩ニュータウン

 マンション建替え規模で全国一と言われる「Brillia多摩ニュータウン(旧諏訪2丁目住宅)」が竣工し、2月1日にはNPO日住協主催の見学会が、諏訪2丁目住宅マンション建替組合及び建替え事業協力者の東京建物(株)の協力のもと行われた。以下は、見学会の模様と合わせ、「Brillia多摩ニュータウン」の建替え事業の概要をお伝えする。

「街づくり」の視点から整備された共用施設

 見学会は、日本最大規模のマンション建替え事業に関心を持つ管理組合関係者等多数参加のもと、建替え組合関係者の案内でマンションの共用施設等を見学。
 まず、健康遊具等が整備された子どもから高齢者までが集える広場を見学し、本事業のコンセプトの「多世代の交流を育むまち」づくりを行う仕掛けが、随所にあることが確認できた。
 続いて、諏訪2丁目住宅時代から、40年かけて育まれた豊かな緑の中を抜ける散策路を下り、マンション住民用のエレベーターを見学。諏訪2丁目住宅は、高低差の大きな多摩丘陵に整備されたので、居住者間の移動の便を図るため、エレベーターが整備された。
 エレベーターで上に移動すると、ゲストハウスに続く通路があった。遠路、住民を訪れる来客者用の施設である。




 上階が高齢者施設、下階が保育所

 その他、保育所と高齢者向け施設が上下階で一体となった施設や、外部の人も利用できるコミュニティカフェも見学。なお、同マンションの敷地内は、誰もが通り抜けが自由ということだ。
 このように、「Brillia多摩ニュータウン」は、マンション内に住む人同士の交流はもちろん、外部との交流も大事にしている。
 他にも、マンション屋上には太陽光パネルを設置し、共用・専有部の照明にはLEDが使用されるなど、環境への配慮も行われている。
 これらの施設整備に当たっては、「この地に住み続けるにはどうすればいいか」という視点からマンションの敷地という枠を超えて、多摩地域の将来まで見据えた「街づくり」のコンセプトが生かされている。

コミュニティの再構築が課題

 旧諏訪2丁目住宅の入居が始まったのが、1971年。建替え組合の加藤理事長によれば、「入居当時は現在の最寄駅の永山駅も無く、何も無い状態から街がスタートした」。そのため、入居当時の住民は「0から街を作りあげる」というフロンティア精神に溢れ、自分たちの問題は自分たちで考え、解決することを40年間行い、640戸の住民間に強いコミュニティが形成された。



 1月19日の「街開き」イベントの様子

 2008年に起きたリーマンショックにより、本事業は計画の大幅な見直しを余儀なくされたが、「現状を何とかしたい」という強いコミュニティの意思と、事業協力者(参加組合員)の東京建物(株)の協力もあって、還元率100%を実現し、事業は竣工した。



 「Brillia多摩ニュータウン」には建替え前の住戸640戸のうち、約9割が戻ってきたが、一般分譲住戸684戸とのコミュニティ形成が今後の課題でもある。
 話が変わるが、見学会のため敷地内を移動する際、マンションに住む人たちから、「こんにちは」とあいさつを受けた。
 加藤理事長によれば、「マンションに住む人同士、あいさつをしましょうと呼び掛けている」ということであった。人と人との交流は、まずはあいさつから。住民間のコミュニティ形成は順調に進んでいるようだ。
 あいさつのほかにも、昨年12月には、メインラウンジでクリスマス会を開いたほか、1月19日には、多摩市長を招いて「街開き」イベントを行うなど、イベントも併用した新しいコミュニティ形成に力を入れている。
(関連記事 本紙2013年10月号1面)

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2014年3月号掲載)