建て替え

マンション建替え円滑化法改正案が成立

 6月22日、第186通常国会が閉会した。今国会では、老朽化マンションの再生に関連する「改正マンション建替え円滑化法」が成立したほか、電力供給の自由化を認める「改正電気事業法」も成立した。今月は、今後のマンションに関連するこれらの法案についてまとめた。

耐震性不足マンション再生を促進


改正マンション建替え円滑化法


「建物敷地売却制度」を創設

 耐震性の不足するマンションの再生を推進するるため、「マンション建替え円滑化法」を改正し、「建物敷地売却制度」を創設した。
 同制度では、特定行政庁(都道府県知事及び市長)により、耐震性不足と認定されたマンションは、区分所有者の5分の4以上の賛成があれば、建物を除却し、敷地の売却が可能になった。
 これまで建物を除却し、敷地を売却するには、民法の規定上権利者全員の同意が必要だったが、同改正法で同意の要件が引き下げられた。


「建物敷地売却制度」

(1)耐震性不足の認定
 耐震診断を受け、耐震不足と認められたマンションは、特定行政庁(都道府県知事及び市長)に、「要除却認定」を申請し、特定行政庁が認定する。
(2)買受計画をもとに敷地売却決議を行う
 「要除却認定」を受けたマンションでは、買受人(デベロッパー等)がマンションの買受・除却、代替住居の提供・あっせん等を内容とする「買受計画」を作成し、特定行政庁の認定を受ける。認定後、同計画に基づき、区分所有者が敷地売却決議を行い、5分の4以上の同意で決議が成立する。
(3)マンション敷地売却組合にすべての権利を集約
 決議成立後、決議同意者の4分の3以上の同意で「マンション敷地売却組合」を設立し、組合は分配金取得計画を作成。権利消滅期日までに、組合は各区分所有者に分配金を配分し、決議反対者には区分所有権、敷地利用権を時価で売渡し請求を行い、所有権を組合に集約する。
 権利消滅期日までに、借家人には補償金を支払い、担保権者には、分配金を区分所有者に支払わず供託し、担保権者が物上代位することで、借家権や担保権も消滅する。
(4)買受人にマンションと敷地を売却
 組合は、買受人にマンションと敷地の権利を売却する。
(5)買受人が新たにマンション等を建設
 買受人は敷地に新たにマンションやビルを建設し、希望する旧区分所有者は再入居する。

容積率緩和の特例措置も

 耐震性不足と認定されたマンションを建替える場合、新たに建築されるマンションに一定の敷地面積があり、かつ敷地内に高齢者向け施設や保育施設等の市街地環境の整備や改善に資するものを整備する場合は、特定行政庁の許可により容積率が緩和される。


今後の予定

 容積率緩和等の要件は7月中に政令で定められる。また、特定行政庁がマンションを要除却認定する際の指針となるガイドラインは秋に策定され、12月に法施行となる予定。

電力小売全面自由化へ


改正電気事業法

 家庭向け電力小売業への参入を2016年に完全自由化する「改正電気事業法」が成立した。
 東日本大震災までは、電力は東京電力等の地域の電力会社により独占して供給が行われてきた。
 震災以降、原発事故の反省や、高騰する天然資源価格、地球環境問題等への対応の必要性から、政府は、従来の電力供給システムを、(1)安定供給の確保、(2)電気料金の最大限の抑制、(3)需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大、の3つの目的を掲げて改革を行っており、本法の改正もその一環として行われた。
 現在、家庭等への電気の小売は、一般電気事業者(東京電力等)にしか認められていないが、本改正法により、2016年以降は電気の供給が自由化。電力事業に競争原理が導入され、消費者はより安い電気事業者との契約や、従来通りの契約で可とするなど、選択の機会が増えることになる。
 また、自由化に伴い、これまで発電から小売まで一体となってきた電気事業の類型を見直し、電気事業を発電・送配電・小売の事業区分に分ける。
 マンションでは、高圧一括受電サービスや、MEMS(マンション・エネルギー・マネジメント・システム)の様に、エネルギー管理まで含めた電力供給サービスが行われ、最近では日本ハウズイング(株)がMEMSアグリゲータに認定されるなど、新規事業者の参入が相次いでおり、2016年以降はさらに新規事業者の参入が相次ぐと見られている。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2014年7月号掲載)