建て替え

マンション再生特集/マンションの資産価値を維持・向上させるには

「作っては壊す」から「直しながら使い続ける」時代へ

 戦後の住宅難から、我が国の住宅政策は、「量の確保」を目的としてきたが、今年7月、総務省の「住宅・土地統計調査」で全国の空家率が13・5%を記録した様に、既に住宅の「量」は十分に確保されている。
 そこで、国は2006年に制定した「住生活基本法」で、「質の向上」へと大きく政策転換し、住宅の質の向上に繋がるリフォーム工事に補助金を出すなど、国も挙げて住宅の「質の向上」に取り組んでいる。
 これを分譲マンションで考えると、既に分譲マンションのストック数は約590万戸となり、都市部での住まい方として定着しているが、築30年以上の高経年マンションは約140万戸となっており、今後も増え続けるこれら高経年マンションの「住まい」の価値を、どう維持・向上させていくかが大きな課題となっている。



 給水管を抜管して劣化状況を診断

高経年マンションの課題

 高経年マンションの価値を維持・向上させるには、共用部分の大規模修繕工事を定期的に行い、マンションの居住環境を入居当時の水準まで戻すことに加え、「省エネ性能の向上」・「老朽化した設備の更新」等、「住まい」を現在の居住水準までに近づけていくことも必要となる。
 また、専有部分においても、居住者の高齢化といった住む人の変化に合わせ、「省エネ性能の向上」・「居室内のバリアフリー化」等を行っていくことも必要だ。

マンション再生へのステップ

 これらの課題に対応するために、共用部分では、(1)長期修繕計画・修繕積立金の定期的な見直しが必要となる。特に、最近は相次ぐ建材費・人件費の高騰により、計画上積算した修繕積立金だけでは大規模修繕・改修工事が行えない可能性もある。
 次に、(2)劣化状況の調査・診断を行い、現在のマンションの状況を的確に把握し、それらを適切に(3)改修プランに反映させ、工事を適切に施工し、工事施工後は、(4)アフターメンテナンスを行う。
 これら(1)〜(4)までを循環させていくことでマンションの「住まい」としての価値が維持され、かつ向上する。  一見当たり前のことと思われるが、積立金不足等により、当たり前のことを行うのが難しい管理組合もあるのも現実だ。
 そんな管理組合の悩みを積水化学工業(株)は引き受けている。


材料メーカーとしての強み

 「積水化学」と聞けば、住宅メーカーの「セキスイハイム」を思い浮かべる人も多いだろう。
 しかし材料メーカーとしての歴史が古く、上下水道管や新築マンションはもちろん、大規模修繕工事に使われる給排水管や建材などを建設会社や改修工事会社に長く供給している。
 そのため、管材や建材に関するデータの蓄積は厚く、劣化状況の的確な診断や劣化状況に応じた最適な対策も行える。  給水管の更新工事でも、ハツリを伴わない居住者に負担の少ない工事を実施するなど、給排水管の更生・更新工事では多数の実績がある。
 今年4月からは、材料メーカーとして蓄積された技術をもとに、屋上防水や外壁塗装等の大規模修繕工事全般に参入した。
 同社は、管理組合からの相談を受け、長期修繕計画の見直しから、設計・施工、アフターメンテナンスまで、マンションの資産価値の維持・向上を全面的にバックアップしていく。


 「製品力」で再生をバックアップ

専有部分のリノベーションにも注力

 同社は、管理組合からの相談を受け、長期修繕計画の見直しから、設計・施工、アフターメンテナンスまで、マンションの資産価値の維持・向上を全面的にバックアップしていく。
 同社は、共用部分の修繕・改修工事に合わせ、専有部分のリノベーションにも注力している。
 特に同社の「マルリノ」は、居室をスケルトン状態にし、給排水管等の設備や断熱性能を一新し、住み心地を再生。
 さらにデザイン面も重視し、現代的な間取りやインテリアを導入するなど、専有部分の資産価値の向上にも繋がっている。


 「マルリノ」で専有部分も再生

共用横主管の曲り部にも適応する新更正工法「リノベライナー工法」を発表/いずみテクノス(株)

 いずみテクノス株式会社(中間太麓社長)は、積水化学工業株式会社と共同開発した「リノベライナー工法」の発表会を行った。
 同工法は埋設共用横主管の更生工法で、既設の横主管内に硬質塩ビ管を装着させる。予備加熱し、柔らかくなった塩ビ管を既設管内に引き込み、引き込み後、圧縮空気で塩ビ管を拡げ、既設管に密着させた後、冷却することで既設管内に硬質塩ビ管を形成する。曲りのある既設管でも施工可能。
 同工法により、地面を掘り返す必要が無くなり、工期の短縮化とコスト削減を実現した(更新工事の半分程度)。また耐食性に優れるため、管の耐用年数が大幅に延長される。


 リノベライナー工法の工程


(集合住宅管理新聞「アメニティ」2014年11月号掲載)