管理組合関連情報

日本マンション学会 東京支部「鼎談 マンション50年を振り返る座談会」

草創期・管理問題・法制度 三氏が語る 都市的居住の過去・現在・未来

日本マンション学会東京支部(支部長:松本恭治高崎健康福祉大学教授)は先月16日午後1時から4時に東京・神田神保町の学士会館で、元ジャーナリストの蒲池紀生氏(80)、元(社)高層住宅管理業協会専務理事、マンション管理研究所所長の米倉喜一郎氏(83)、中央大学法科大学院教授の丸山英氣氏(69)を招き、鼎談マンション50年を振り返ると題した座談会を行った。参加者は山本育三同学会会長ほか、穐山精吾NPO日住協会長ら有識者約20名。この催しは同学会設立15周年記念事業の一環で昨年企画化し、ようやく実現。わが国におけるマンション普及の過程、将来像とあわせて、その草創期を聞く貴重な時間となった。

座談会は、松本支部長がそれぞれ三氏に尋ね、それに応答する形で進行。まず最初に、蒲池氏が、マンションがわが国に登場する頃、専門メディアのジャーナリストとして活動していた経験を披露し、昭和30年代初めの「マンション一番手三社」について紹介、6次に渡るマンションブームと呼ばれた時期を振り返りながら、マンションのブランド化の傾向を指摘しつつ現在、マンションの3P(プレイス:立地条件、プラン:計画、プライス:価格)競争の激化問題をコンパクトに講演した。

続いて、米倉氏は、マンション管理と管理業の関わりから、69年の前後におけるマンション問題の表面化の有無をアプローチ。「管理前史(55〜69年)」、ほぼ10年毎に「模索期」、「管理体制整備期」、「拡充期」、「新管理体制実験期」と名付けて順次説明を展開し、マンション管理適正化法(平12)の施行が新たな路線の設定として、現在、管理及び管理業全般で実験期にあることを指摘した。

また、丸山教授は、直接マンション草創期という時期とは異なるが、マンション問題の紛争類型を時系列で示しつつ、区分所有制度の法的変遷の説明を行い、わが国の区分所有制度の変容を指摘する。

この後鼎談は、わが国でマンションが誕生して以来、今日までに600万戸に迫る普及過程にある中で、これからのマンションはどうなるか、正に今がこの動き出す時期として捉え、管理部門の展開、法制度の位置付け、建替え問題などバラエティーに富んだ質疑応答が続いた。三氏の主な発言の要約は次の通り。

62年区分所有法の制定は同潤会の払い下げ問題とGHQからの指導
蒲池紀生氏
住宅営団の解体に当たって、当時のGHQは、米国のコンドミニアム法の研究を指示。昭和30年代に入って研究が本格化する。
また、マンション供給は、住宅金融公庫の参入に伴いブーム化し、一部富裕層の住宅から庶民化路線に変わったことをきっかけに一挙に成長路線へ転換(70年)した。
今後については、コミュニティのための空間の充実、建替えのための基金の確保、高齢者への助成体制の整備が急がれるとする。

管理適正化法の効果は今後の展開次第か
米倉喜一郎氏
管理業が定着する方向性にあって、マンション管理士制度導入に伴う混乱を指摘する中で、管理の質の向上が重要であるとし、管理業界内での同管理士の活かし方が鍵だとする。
なお、米倉氏はこれまでの経験から、マンション業界全体の業績悪化の傾向を踏まえつつ管理会社の総資本回転率が他業種に比べ、資本が眠ることのない格段に優れた状況と分析した上で、保証制度の充実を訴えた。
建替え問題については、高齢者に対するリバースモーゲージ方式の活用にあたって、利子の取得は問題で無利子とすべきであるとする。

管理者制度はボタンの掛け違い
丸山英氣教授
62年区分所有法において管理者の導入は管理組合の理事長がそれにあたるという発想ではそもそもなかったのではないかとし、管理組合・管理会社・管理士といった関連性の中で新しい管理者の発想が出てくるのではないかとする。
また、区分所有制度が金融法の領域に徐々に集約されていくことを指摘したほか、建替え問題については、所有権の軽視の傾向から、区分所有権そのものが借家人よりも弱い権利となる方向性を示唆した。

集合住宅管理新聞「アメニティ」306号(2008年3月)掲載



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