給水ポンプ交換工事:2000年10月号掲載
R住宅
(神奈川県・川崎市)
工事目的
既存ポンプユニットの2つあるインバーターの1台が故障し、本来2台のポンプを24時間切り替えで交互に運転するところ、1台の単独運転に陥った。メーカーと原因及び補修方法等について協議した。更に、メーカーと給水設備のメンテナンス業者3社を加え、長期修繕の見地に立ち合理的な対策を比較検討した。既存給水設備の仕様を次に示す。
- 型式
DLF65V5-7.5BQ - 機器構成
- モーター:7.5kwUF2211型・全閉外扇2台
- ポンプ:65MS NS-5750m 0.4m3/min 2台
- 制御台:VF5120HGによるインバーター制御1台
- アキュームレーター:WX-39V
- 制御方法
24Hタイマーによる自動交互運転 - 設置場所
地下受水槽室
検討結果
- 現状復帰に関する工事内容とその費用(略)
- 交換部品が入手困難な事、昨年も同様の故障があった事、来年にオーバーホール(約200万円)必要な事等を考慮し、長期修繕の見地で検討するために、対策をメーカーを含む3社に提案してもらった(表1)
- 一般論では使用年数からして交換には早い時期ではあるが、既存設備の修理費用とオーバーホールの費用で、新規に交換できる事と、ランニングコストも年間10万円程安くなる見通しと、部品交換が迅速になる見通しから交換することにした
[表1]提案内容の比較検討結果
メーカー案 | T社案 | N社案 | |
---|---|---|---|
提案内容 |
新設設備: 工場引取分解点検設備 現地搬出搬入据付工事 現地電気配管改修工事 諸経費 |
給水ポンプ取替(KF50A5.5G) 配管工事 ポンプ据付け調整 搬入・搬出撤去処分 雑材及び消耗品 諸経費 |
部材費: 工事費: 廃材処分等 |
合計費用 | 5,000,000円 | 2,497,540円 | 2,310,000円 |
改善点 |
効率・性能向上。 故障時の対応の迅速化。 インバーター故障時、商用運転が可能になる。 |
技術の進歩により、既存設備の能力を有しながら、省スペース、省エネタイプの給水設備になる。 故障時の対応の迅速化。 ランニングコストの軽減。 |
技術の進歩により、既存設備の能力を有しながら、省スペース、省エネタイプの給水設備になる。 故障時の対応の迅速化。 ランニングコストの軽減。 |
総合評価 | 3 | 2 | 1 |
T社とN社にポンプ交換の仕様と見積もりを出してもらい比較したところ、N社が現地調査を綿密に行ったせいもあり、技術的に信頼できる仕様を提出した事と、長期修繕に関する情報も充実していた事から、N社に発注した。
工事概要
所在地
神奈川県川崎市
企画・発注
R住宅管理組合
建物概要
入居年度1992年12月
鉄筋コンクリート造5階建、80戸
工事施工
日本ライフサービス株式会社
工事実施日
2000年1月6日、17日、18日
(1)仕様機器、部材
(略)
(2)工事内容
- 既存ポンプ・弁類・配管撤去、搬出工事
- 基礎架台変更工事
- 給水ポンプユニット設置工事
- 弁類交換工事
- 配管変更工事
- 電気及び警報配線変更工事
- 保温工事
(3)特記事項
- 受水槽室天井配管は撤去しない予定だったが、今後、放置した場合に落下する恐れがあったため、撤去した。
- 給水ポンプユニット運転時の設定圧力は交換前の設定圧力(5kgf/cm2)と同じ程度になるよう調整した。
- 緊急時の簡易的なマニュアルを作成し、受水槽室に常備した
工事完了後の感想
- 設置スペースが約1/3になった
- 配管径が小さくなり、天井からの吊り下げ配管が無くなった
- 運転音が静かになった
- 使用開始後間もなく異音を発する様になったが、メーカーが初期不良として交換した
- 汎用の機種である事から、故障時の対応が迅速に実施される安心感が得られた
- 契約電力の減設申請を施工業者に依頼した
(ランニングコストの軽減の確認は減設申請が認可され次第行う)
<アメニティ新聞217号 2000年10月掲載>