未来志向型の屋上防水全面撤去工法:2004年12月号掲載

T住宅
(東京都・多摩市)

工事見学会屋上防水改修工事中のT住宅において、11月20日NPO日住協東京支部主催による工事見学会が行われ、5管理組合9名の参加者があった。同住宅の工事は大変ユニークな取り組みにより着工しているので、工事経過を管理組合に執筆いただいた。


工事工法の検討

豊ケ丘2-1住宅

関係理事が勉強会や見学会に参加し、予備知識を蓄え、アスファルト防水、ゴムシート防水、塩ビシート防水、ウレタン防水について検討した結果、全面撤去のため、仮防水の確実なアスファルト防水を採用しました。

断熱工法「外断熱ブロック工法」と従来の「露出断熱工法」を比較検討し、一長一短があるため両工法で見積を依頼。

「外断熱ブロック工法」は、防水材(アスファルト)の上に断熱材をのせ、その上にコンクリートブロックを施すもので、防水材の劣化が少なく断熱効果が高い。しかし施工例が少なく、工事費がかさみます。一方の「露出断熱工法」は、まず断熱材を敷きつめその上に防水材をのせるもので、当団地も建設当初からこの工法によるものでした。ただ、夏場の屋上表面はおよそ75℃にも達するため、防水材の劣化が促進され、5~6年後に全面保護塗装工事が必要になります。

工事仕様書の作成

工事仕様書と見積様式は、外断熱ブロック工法と露出断熱工法の2種類を、管理組合で作成しました。工事の基本は10年保証付で請負業者の責任施工方式としました。

見積依頼と見積結果

6社(建設工事業者3社、防水専門業者3社)に依頼し、5社が見積に参加。現場説明会は、各社別に時間をかえて行いました。

見積結果は下記の通り。(いずれも税込金額)

A社 外断熱ブロック工法 80,850千円
露出断熱工法 65,415千円
B社 外断熱ブロック工法 95,550千円
露出断熱工法 73,500千円
C社 外断熱ブロック工法 100,047千円
露出断熱工法 61,236千円
D社 外断熱ブロック工法 109,200千円
露出断熱工法 78,120千円
E社 外断熱ブロック工法 85,050千円
露出断熱工法 72,450千円
管理組合 外断熱ブロック工法 74,025千円
露出断熱工法 63,000千円

業者選定について

管理組合では、総合的に判断して、今回は従来通りの「露出断熱工法」に決定。同工法で6,000万円台の2社に絞り「ヒアリング」を実施。その結果、A社に内定、通常総会での承認を経て契約しました。

工事実施

施工計画書=計画書は、施工業者が作成しました。

住民説明会=契約後、本年9月の日曜日に2度行いました。

現場監理=日常監理は、4名が専任で、毎日2~3名が2回以上現場状況を確認して、その結果を日誌に記載。土曜日には、その他に担当理事等が4名加わります。

さらに、月2回、定例会議を行い、管理組合と工事業者双方が提案事項を検討し、議事録を作成します。

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T住宅管理組合 理事長 西山博之

<T住宅>
所在地/多摩市豊ケ丘
築年月/昭和53年3月(築26年)
分譲/旧住宅公団
構造規模/5階建・RC造5棟130戸、PC造5棟140戸
計画・監理/管理組合(田島ルーフィング(株)の指導を受ける)

(前回の工事)
 平成4年(築後14年)に、重ねトーチ工法による全面改修を行う。
(過去の補修工事)
 平成8年に保護塗装工事を行ったほか、部分補修工事を7回
(工事予定期間)
 平成16年9月1日~17年1月31日

(アメニティ新聞第267号2004年12月号掲載)