ポリエチレン管やステンレス管の使用により耐久性・耐食性・施工性を向上 共用給水管更新工事を終えて:2006年7月号掲載
H住宅
(神奈川県・伊勢原市)
H住宅について
H住宅は、神奈川県の県央部の伊勢原市に在り、山岳信仰で有名な大山を背負って建っている集合住宅です。東名厚木ICから車で5分、小田急線の愛甲石田駅から徒歩20分で比較的交通の便は良く、国道246号線から100m程入った閑静な住宅街に位置し、緑が多く春には団地の中を通るバス通りは桜のアーケードとなります。
当管理組合では、建築的な大規模改修工事は各種とも複数度行なってきましたが、上水道は神奈川県水道局からの供給水質は上質で、赤水や漏水等がこれまで問題視されたことが無く、33年目にて初めての共用給水管の更新工事を行ないましたのでその内容を御案内いたします。
工事の特徴
- 既存第1制水弁の取替えが管理組合外の約6,000戸の断水を伴うために行えず、新設制水弁(15個)を設置した。将来水道本管更新時には、新設制水弁が第1制水弁となる。
- 神奈川県水道局管内で直結直圧給水敷地内主管に、はじめて水道配水用ポリエチレン管の使用を承諾され、コストダウンが図れた。当初は給水鋳鉄管と耐震継手の使用を指導されたが、コスト・施工性・耐震性に優れ日本水道協会が認証していて、阪神大震災や中越地震で損傷の少なかったポリエチレン管の採用を三者(組合・設計者・メーカー)で交渉を行い、承諾を勝ち得た。
- 住棟共用給水管更新工事に当たり、仮設給水配管を設置して断水時間の短縮と断水回数の削減を図った。また、仮設給水配管を設置することで既存配管経路を再利用でき、構造躯体の新規穴明けを行なうことなく耐震性能劣化を防止した。
- 住棟内共用給水管にステンレス管を採用し、耐久性・耐食性・施工性の向上を図った。
- 新築時から量水器の1次側(共用)、2次側(専有)部に使用されていた水道用鉛管の撤去を行い、居住者の健康に留意した。
- 給水管の防湿防寒材料は保湿性のない、ウレタン系保温材で行なった。
- 工事に当たり、安全を第一に工事を行なってもらった。安全祈願祭の実施、朝礼時に安全講話、階段入口掲示、各戸お知らせ文書配布、現場の安全点検巡回などを行い、無事故で工事が完了できた。
工事を終えて
委員会メンバーが毎日朝礼に参加すると共に週1回の定例打ち合わせを行い、コミュニケーションの潤滑化を図ると共に、ジャストインタイムの工事進捗度把握、問題点の話し合いができ、余裕を持って工事引渡し日を迎えられた。
工期は年度当初には年度内完成(2006年3月末)を計画していたが、理事会より後に後悔を残さないように基本設計・改修実施計画に充分な時間をかけて検討を行い、年度を跨っても良いとのアドバイスがあった。これにより工期は1ヶ月半後ろにずれたが、設計変更無し、工事費が予算の62%、追加発注工事は工事費の2%との好結果に繋がった。
ポリエチレン管やステンレス管の使用により、次回改修は40年以上後と期待している。
<アメニティ新聞286号 2006年7月掲載>