2棟ずつの工事や工事担当者を工程ごとに固定する等居住者の日常生活・安心、品質を優先した工事:2007年3月号掲載
Kハイツ (千葉・柏市)
初めての大規模修繕工事にあたって
Kハイツは、東武野田線「高柳駅」から徒歩8分の住宅街に1992年5月に建設された。RC造3階建て4棟、総戸数96戸の集合住宅である。今年で築15年ということもあり、住民のほとんどが新築当初から住むファーストオーナーで、昨年8月からおこなわれた大規模修繕工事が、管理組合が初めて体験する大掛かりな工事となったが、大手ゼネコンに勤務する人が住民の中にいて修繕委員をまとめ、今年2月に滞りなく工事が完了した。
主な改修箇所
美観向上に合せて耐候性の向上・漏水防止を基本に、躯体保護を目的とした工事をおこなった。主な改修箇所は以下の通り。
■防水改修工事
防水工事は、4年前におこなった屋上を除く、階段室庇屋根・階段室床・バルコニー床を施工した。階段室庇屋根は、既存ウレタン防水に新規ウレタン防水材料を被せておこなう被せ工法を、階段室床・バルコニー床にはシート貼りをおこない、共に5年間の保証をつけた。
【階段室庇屋根防水工事】
【階段室床防水工事】
■外壁下地補修工事
外壁塗装の下地(躯体)の劣化損傷の機能回復に重点を置き、タイル補修・壁ひび割れ補修・シーリング打ち替え補修などをおこなった。
【タイル補修工事】
■鉄部塗装工事
鉄部の腐食などを防ぐために、フェンス・ゴミ置場・駐輪場などの鉄部を施工した。
■その他の工事
集合住宅の居住者は、大規模修繕工事が今後の自分たちの生活を快適にするために必要な建物全体のメンテナンスだと理解している。そして同時に、工事が日常生活にできるだけ支障をきたさないことと、「完璧な工事」を望んでいる。当然のことではあるが、工事費用や期間などの問題で実現するのは容易ではない。
今回の大規模修繕工事では、日常生活にできるだけ支障をきたさないように、4棟一斉に工事を始めるのではなく、駐車場の問題なども考慮して、できるだけ住民に負担が掛からない方法を考え、2棟ずつ工事をおこなうことを選択した。
また、大規模修繕工事を担当するすべての作業員を、工程ごとに固定し、同じグループが4棟全部を手掛けられるように事前交渉をした。これによって仕上がりの品質を均等に保ち、各工程に携わるグループに、工事に対する責任と自覚を持たせるように配慮した。
工事に携わる人間を固定することで、得られるメリットは他にもある。工事中は居住区内に、多くの工事関係者が半年近く出入りすることになるが、関係者が固定されれば、不審者の侵入に対してのガードにも繋がり、居住者も、出入りしている工事関係者が顔見知りであれば安心できるメリットが生まれる。当マンションの今回の工事ではその点を特に注力し、工事を進捗させた。
<アメニティ新聞294号 2007年3月掲載記事>