防水工事に重点をおいた3回目の大規模修繕工事:2008年4月号掲載
T団地(松戸市)
3月9日(日)、大規模修繕工事施工中のT団地(松戸市)においてNPO日住協千葉支部主催による工事見学会が行われた。参加人数は7管理組合25名。集会所にて工事内容についての説明の後現場見学を行い、その後質疑応答が行われた。
建物の概要
T団地はJR武蔵野線「市川大野駅」から徒歩15分の位置に1970年9月、当時の住宅公団から分譲住宅として建設された。RC造5階建て、全21棟、総戸数604戸。今年で築後38年を迎える。
管理組合の取組み
今回、管理組合にとっては3回目の大規模修繕工事となったが、06年度を準備段階と位置付け「大規模修繕工事準備・実行委員会」を立上げ、設計監理者に高木・利根川建築事務所を選任、施工会社は数社の入札方式により南海工業㈱を選定し07年6月より工事に取り掛かった。工事全体の終了は3月末日を予定。
主な改修箇所
平成12年度に行った耐震診断では全ての住棟及び給水塔が必要耐震強度を満たす1・0以上であることが判明。又、02年に行った建物の基礎部分や床下部分の躯体調査では32年経過した建物としては劣化が少なく良好な状態との評価があり、今後30年は優に維持できるとの見通しを得た。 これらを踏まえ、今回は大庇や小庇、ベランダなどの防水改修に重点をおき、その他、鉄部補強や設備更新などを行い、今後、長く住み続けるための保全、維持を継続的に続けていく事を目的に工事を行った。主な改修箇所は以下の通り。
防水改修工事
今回の改修の大きな目的の一つ、防水改修は、過去行った大屋根防水改修工事の時に一緒に行えなかった大庇部分を重点的に補修した。大屋根部分の防水自体には問題は無かったが、5、6年前よりつなぎ目部分から水が入り込む箇所があり今回、大庇の全面的な防水改修を行った。その他、小庇、階段室、ベランダ、窓面台、各種笠木部分などの改修も行った。ベランダ床は経年劣化に伴い、長尺塩ビシートとウレタン塗膜防水による改修、同じく階段室はウレタン樹脂の概設防水層塗膜の補修とトップコート塗装による改修を行った。又、防水塗料には環境対応型を使用し臭気を抑えた。
外壁改修工事
現在の仕上げ塗材の上に複層弾性系塗材を施し、耐候性・耐汚染性に優れたアクリルウレタン樹脂エナメルで仕上げた。その他、シーリング補修、金物類補修などを施工。
鉄部塗装工事
窓手摺、ベランダ手摺、住戸玄関扉、ピロティ落下防止庇などを施工。一部ボルトの緩みなどがあった窓手摺、ベランダ手摺は今回、交換せず補助金具を付け補強することで万が一の落下を防ぎ、今後30年は持たせるようにした。 また、塗料には油性溶剤系の塗料を極力減らし、主に水性塗料を使い、居住者から臭いが気にならないと好評だった。
その他の工事
雑排水竪管及び雨水竪管の新規交換、階段室玄関庇の支柱補強・補修、駐輪場上屋をアルミ製へ交換、郵便受けをアルミ製へ交換、掲示板に風除けのガラスケース設置等。 今回の工事では生活環境を配慮して、安全面、落下物などには十分注意を払いながら南側ベランダや窓部分のメッシュシートを外して工事を進めた為、通常の閉塞感から開放されて居住者からは好評だった。
<アメニティ新聞307号 2008年4月掲載記事>