共用給水管の更新と直結増圧給水方式による給水設備改修工事:2008年12月号掲載

S住宅(横浜市)

 給水管並びに給水設備改修工事中のS住宅管理組合(横浜市青葉区すすき野、昭和57年旧日本住宅公団分譲、4・5階建136戸)において、11月9日NPO日住協神奈川県支部主催、NPOかながわマンション管理組合ネットワーク・NPO横浜マンション管理組合ネットワーク後援による工事見学会が開催された。当日は雨模様にもかかわらず16管理組合47名もの参加者があり、盛況な見学会となった。(以下改修工事の事例報告)

 今回工事の内容(工事範囲)は、共用給水管(埋設管並びに住棟共用管)の更新、及び加圧給水装置を直結増圧ポンプへの更新工事で、共用部分のみの工事となり、専有部分(室内)の工事は除外した。設計・監理/(有)トム設備設計、施工/京浜管鉄工業(株)。施工会社の選定にあたっては6社のうちから、設計監理者については2社のうちから比較選定した。専有部分については、これまで漏水事故もなく未だあまり傷んでいないことから時期をずらせて別途行うこととした。

 今回工事の実施にあたって管理組合では、3年前から諸準備を開始した。平成16年10月に給排水管内視鏡調査(調査会社)、17年1月に給水管抜管調査(調査会社)、19年9月に目視調査(改修コンサル)を行った。その結果、埋設給水管については団地の土質があまりよくないことから早急に改修を、共用給水管については5年以内での改修を、共用量水器廻り給水管については3年以内での改修をとの回答を得たので、管理組合では共用給水管の改修工事の検討に入った。

 共用給水管の改修にあたっては、給湯管(銅管)は更生工事ができない、更生工事は耐用年数が短い(10~15年)などの理由により更新工事(管の取替え)とし、埋設管については新規経路で、住棟共用管(竪管及び室内導入管等)については現状経路によることとした。住棟共用管の配管材料は水道用高性能ポリエチレン管とし、錆びない、漏水の心配がない、一体管路なので地震に強いなどの特徴を持つエスロハイパーPE・AW(積水化学工業)を採用した。

 給水設備の改修にあたっては、現状の加圧給水方式と直結増圧給水方式とを比較検討した結果、改修工事費や維持管理費の節減が計れることから直結増圧給水方式を採用することとした。タンク(受水槽)に貯めた水を加圧給水する方式に比し、直結増圧する方式は水道本管から直接水を室内に供給するので衛生的でタンクが無くなるため維持管理が容易となるなどのメリットがある。  工事期間中の断水は、仮設配管に切り替え時(2~3時間)、棟内新設配管工事時(10~20分)、ポンプ切り替え時(2~3時間)、新規メーター交換時(10~20分)の4回となったが、出来るだけ長時間断水がないように工夫した。

 工期は準備期間を含めて約5ヵ月であったが、居住者の理解と協力を得て12月中旬には全て完了する予定。

<アメニティ新聞315号 2008年12月掲載記事>