初めての大規模修繕工事:2009年8月号掲載
Gマンション大規模修繕委員会 委員長・大野哲夫
■環境共生マンション
私達が住むGマンションは、武蔵野国一宮の氷川神社やさいたま市の中心大宮駅の東部郊外にあり、大宮台地南部に位置し「山田の案山子(文部省唱歌)」発祥の地「見沼田んぼ」に近接するなど歴史、緑と太陽の日差しにつつまれた、住環境において趣の深い地域に立地しています。このような周辺環境のもと、13年前に当時としては先進的な環境共生マンションとして建設され、この春、初の大規模修繕工事を迎えました。
■初めての大規模修繕工事
大規模修繕工事とは、マンションを構成する数多くの劣化サイクルの異なる躯体や部位の工事を、築後12年前後のサイクルでまとめて工事するものです。対象範囲だけでなく期間も予算も大規模であり、また半年近くの長きに渡り居住者も工事と共生することとなり、それだけに、全ての居住者に工事へ参画してもらう必要があります。 私達のメンバーは、責任感や執行能力の高い人物で構成されていたとはいえ、マンションリフォームに関して素人の集団でした。このような集団が、多くの居住者から工事実施への信任を得るには、「あの人たちの集団なら任せられる」との合意形成が重要だと痛感し、そのために次の6点を意識しました。
■6つのポイント
(1)資金管理・業者選定において、公明正大にやっているか?
(2)執行能力はあるのか?
(3)(委員個人や委員会・理事会の暴走を阻止する)けん制機能はあるのか?
(4)計画性はあるのか?
(5)(工事に関わる)正確な情報を持っているのか?
(6)資金はあるのか?
これらは、居住者の全員が、普段工事に無関心のように見えても、現実は厳しくチェックしている部分です。
(6)の「資金」問題は、委員会の前身、長期修繕委員会時代に目途を付けていただいており懸念はありませんでした。そこで他5項目を具体化することで、委員会・理事会への信頼は徐々に醸成され、「居住者とともに進める工事」が実現するものと考え諸処対策を実施しました。
■よいコンサルと適切な広報
具体策としては、いち早く実績と信頼のおけるコンサルタント((株)スペースユニオン)と契約をし、知識と執行の補完を行い、並行して意志を共有できる意欲・能力の高い理事・理事長、さらに実務においてきめ細かくサポートしてくれる事務局のメンバーに参加していただき組織を強固なものとしました。特に委員会副委員長として、事務局長が参画していたことは成功への大きな要因でした。 同時に常時居住者とのコミュニケーションを意識し、理事会発行の新聞「グローブコートだより」(毎月発行)のトップ記事として、毎回工事に関わる内容を掲載していただき、さらに委員会独自でも大規模修繕新聞を発行しました。
和衷共済、このような目的を共有でき且つ具現化できる仲間と組織ができ、そこにあらゆる媒体・機会を活用して居住者とのコミュニケーションを図る工夫を継続したことで、なんとか居住者の信頼を得ることができたものと回顧します。
■よい施工業者との出会い
当マンションは、高台の斜面に位置し、また環境共生マンションということで、その意匠、構造には独特のものがありますが、そのような条件にもめげず、且つ私達の意図を十分に酌みとって工事を実施していただいた工事業者(建装工業株式会社)に巡り合えたことにより、工事はスムーズ且つ安全に実施され、今無事に竣工式を迎えることができました。
あらためて、書面をもって関係者皆様に深謝いたします。
<アメニティ新聞323号 2009年8月掲載記事>