第2回目の大規模修繕工事 大型団地のため3工区に分けて施工:2010年5月号掲載
K団地(埼玉県川越市)は、SRC造9階建2棟・PC造5階建31棟、総住戸数1449戸の他、RC造2階建1棟店舗付住戸(6住戸)、S造平屋建1棟スーパー、S造平屋建1棟独立店舗、RC造2階建1棟医療施設、RC造平屋建1棟管理棟の超大型団地で、入居は1983年~86年である。
今回工事は、2009年7月~2010年4月の工期で第2回目の大規模修繕工事となる。
◆主な工事範囲
主な工事の内容と範囲は、(1)共通仮設工事(2)直接仮設工事(3)下地補修工事(4)タイル面補修工事(5)シーリング工事(6)外壁塗装工事(7)鉄部塗装工事(8)防水工事(9)外構工事(10)その他工事で、外壁は微弾性シリコントップ塗装(色は既存色にて仕上げ)、屋上はトップコートを遮熱塗料による保護塗装、階段室は床面塩ビシート張り・照明器具交換、など。
◆工事の特徴
今回工事の特徴としては、既存塗膜の付着力不足による外壁塗装仕様の検討である。これは、破断箇所から前回大規模修繕工事の塗材が起因していると思われ、外見上は全く健全に見えるものの、付着力試験の結果、基準値を満たしていない部位が大変多く、サンプル数を増やして再試験をしたところ、同様に悪い結果となった。その中でも顕著な9棟は既存塗膜全面剥離とした。剥離をしない棟については約1年の期間を費やし、既存塗膜と今回仕様による塗材との適合性を試験施工により確認して最終的な塗装仕様を決定した
◆施工会社選定
施工会社選定にあたっては、アメニティ紙配信のマンションメンテのホームページと業界新聞で一般公募した。公募の結果29社の応募があり、書類審査による1次選考を行った。1次選考の結果12社が残り、12社に見積依頼をした。見積の結果2次選考を行って6社に絞り込み、ヒアリングの結果上記3社に決定した。
◆3社施工にした理由
3社3工区としたのは、1社当たりの戸数を500戸以内とすることで工事を合理的な計画で実施できること、そして、職人の質のばらつきを極力避けることで品質の悪化を回避するためである。また、マンション改修専門業者の3社としたのは、特殊な工事は含まれず、基本修繕が主体の工事であるため、なるべく間接経費の掛からない業態の会社で工事を実施して工事費を抑えるためである。
◆管理組合の工事体制
大規模修繕工事における管理組合の体制としては、理事会と修繕委員会が中心となり、調査診断・改修設計・施工業者選定までは、月1回~2回ほどの打合せを重ねて、あらゆる決定事項について合意形成を図った。工事着工後は、設計者、監理者、施工会社の4者会議を毎月1回定例開催し、工事の進捗状況確認や変更事項の審議、また問題点があればその解決を行った。工事は、当初の予定通り4月末竣工。
設計・監理
(株)三衛建築設計事務所
施工 I工区
(株)富士防・東京支店
II工区
(株)サカクラ・東京支店
III工区
トリヤマ(株)
<アメニティ新聞332号 2010年5月掲載記事>