住環境改善工事も実施 第2回目の大規模修繕工事:2011年4月号掲載
工事事例/K団地
1、団地概要
「K団地」は埼玉県鶴ヶ島市と川越市に跨るかわつるグリーンタウン内の旧公団分譲団地のひとつで、昭和60年入居RC造5階建10棟280戸の規模であり、PC造10棟のUR都市機構賃貸団地と給水施設等一部施設を共用している郊外型集合住宅である。
2、第2回目大規模修繕工事実施まで
入居11年目の平成8年実施の第1回目の大規模修繕工事以降、平成11年に屋上防水全面改修工事、平成15年に鉄部塗装工事を実施した。又、入居13年目頃から、アルミ製手摺柱脚部躯体にアンカー金物の腐食による不具合が発生して対応してきた。
当初の修繕計画では、第2回目大規模修繕工事は12年目の平成20年に予定していたが、管理組合の意向で平成22年実施に延期した。2年間の延期に当っては2度にわたる設計事務所による事前調査により決定した。
3、管理組合の取組み
管理組合には中長期修繕委員会が組織されているが、別に大規模修繕委員会を立ち上げて、理事会と合同で取組んだ。
設計事務所選定から、設計事務所と共に工事内容・仕様の検討、施工会社の選定をして総会承認を受けて工事を実施した。
大規模修繕委員会と理事会合同組織は工事期間中の定例会議開催や施工状況の確認を着工から竣工まで行った。
4、住環境改善も視野に入れた工事内容
外壁等壁面はコンクリート打ち放し工法で非常に精度の高い仕上となっているため、爆裂・ジャンカ等は極めて少ない。 ひび割れもパラぺットと手摺支柱根元部以外は非常に少なく、全てのひび割れは下地調整材の擦り込み処理とした。
又、前回の改修施工精度も良かった為、外壁等塗装パターンを生かす塗装仕様で水性シリコン系塗料仕上とした。外壁色は好評により現状色とした。
屋上防水に関しては、各所目地シーリング材の増し打ちと防水層劣化部分補修とトップコート塗布、パラペット天面の塗膜防水の増し塗りとした。
今回は住環境改善として、階段床とバルコニー床の樹脂シート貼り、集合ポストの大型化とグレードアップ、物干し金物アルミ伸縮型更新、竪樋取付金物のステンレス化トイレ排水竪管掃除口パッキング取替、管理棟男女トイレ各一カ所を洋風シャワートイレに更新した。玄関扉に関しては、カバー工法による更新は次回として、今回は扉パッキングの取替をした。
又、サッシ戸車取替、網戸張替と更新等のオプション工事を個人負担にて実施した。
なお、1階から5階迄連続の階段補助手摺取付に関しては、段型毎に切れているが鋼製手摺が付いている為、今後の検討課題とした。
5、工事を完了して
第2回目の大規模修繕工事完了により、建物本体に関しては今後の修繕項目及び施設改善項目の見通しが付いたことから、今後は、給水管・排水管等設備関係の改修も含めて修繕計画の再見直しをする。
大規模修繕工事が竣工して一カ月も経たない内に、東日本巨大地震に遭った。直ちに建物外観調査を実施したが、幸い設備を含めて異常が無かった。被災地の一日も早い復興を祈るものである。
(設計・監理/一級建築士事務所・秋建築設計事務所、施工/SMCリフォーム株式会社)
(2011年4月号掲載)