住戸内給排水配管その他改修工事:2014年1月号掲載
立地と建物概要
S住宅は若い人に人気のある田園都市線あざみ野駅からバスで五つ目のバス停前の緑の多い環境の中に立地し、4・5階建て7棟住戸数136戸の住宅で、昭和57年に入居し経年31年目のマンションです。
◆設計事務所との関わり
平成17年から組合で始めた設備改修勉強会に参加、その後給水設備直結化の設計監理を受託し平成20年に工事が完了、そして今回の「住戸内給排水配管その他改修工事」の設計監理を受託、継続して8年のコンサルティングを行っています。
今回の工事は、住戸内設備配管の取替工事ですので、「改修工事が必要であること」を周知し、居住者の理解・協力が不可欠な工事です。よって、詳細劣化調査を実施し給排水管・給湯管の傷みの確認を行い、その結果をもとに基本計画を作成しました。
◆修繕積立金を住戸内専有設備改修工事に使用
平成24年9月の臨時総会で、規約改正の承認を特別決議で承認。「専有部分である設備のうち、共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理として行う必要があるときは、総会の決議を経て、管理組合がこれを行うことができる」とする規約改正で、専有部分の工事に修繕積立金を充てることを可能としました。
◆リフォーム済み住戸対応
31年を経年し水場周り他のリフォーム済みの住戸が60%以上あり、建設時の仕上げ材と違う材料で行われた住戸が殆どでした。今回は建設時の原状復旧ではなく、現在の現状復旧での改修工事として総会で承認されました。公平性の観点から原状復旧という方もいますが管理組合へリフォーム届を提出し承諾後に自費で行っていることを原状のままの方に理解して頂き修繕積立金で改修工事を行いました。
◆共用設備と住戸内設備を一緒に工事
今回の工事では、共用排水管と併せて専有給水管・給湯管・排水管・ガス管の更新(取替)を行いました。これは、修繕時期の違う管材があっても、住戸内立入工事を1回で済ませ居住者の在宅負担を少なくすること、配管更新のために発生する内装解体復旧や器具類の取り外し再取付を1回で済ませコストメリットを図ることを前提に工事を一緒に行いました。
◆下階天井内排水管の床上化工事
S住宅の浴室防水はアスファルト防水(在来工法)ですので、防水のやり替えを行うと3週間程度の工事期間と入浴ができないことがわかり、排水管改修に伴う防水改修は断念しました。そこで、洗面・洗濯排水管の床上化に伴いユニットバス化(床上排水)への対応として浴室間際まで排水管を配管して、将来接続用配管を行いました。当然今回の工事で、自費負担でユニットバスを導入した住戸では将来接続用配管に接続しましたので、下階天井内排水管の工事は行っていません。また、今回ユニットバス化できない住戸では、浴室排水金物と接続立ち下がり管を清掃してエポキシ樹脂を内面に塗布し延命を図り、下階天井排水管の取替を行い生活に支障の無いようにした工事となっています。
◆工事会社選定
見積参加希望者をアメニティ新聞と建通新聞の2社に掲載してもらい、公開公募を行った結果、応募7社に見積依頼し、その内2社にヒアリングをして(株)太平エンジニアリングに決めました。
◆工事の準備と期間
全戸の住戸内事前調査の内容と工事説明会、先行工事等々、準備期間80日間を要した。
先行工事を行った結果、住戸内工事では予定していた5日間工事では難しいことがわかり7日間工事の工程変更と居住者へのお知らせを行いました。
工事は昨年8月20日のお盆明けからスタート。住戸内立ち入り工事期間は8月20日から12月28日。材料の不足や、内装工事業者の入れ替えなどがあったが、全戸の工事日程を崩すことなく終了したことは、実績のある施工会社を選定した結果が良かったと判断します。
「設計・監理=有限会社トム設備設計、施工=株式会社太平エンジニアリング」
2014年1月号掲載