第3回大規模修繕工事 排気ダクト等の設備改善も同時施工:2014年9月号掲載
1.建物概要・修繕履歴
「M住宅」は、東武東上線のときわ台駅及び上板橋駅から徒歩圏内に位置する旧日本住宅公団(現・都市再生機構)分譲の団地型マンションである。
竣工は昭和56年、建物は壁式構造で5~8階建が全5棟・301戸ある。5階建の棟は階段室タイプ、7~8階建の棟は開放廊下がある2フロアのみにエレベーターが止まるスキップフロアタイプとなっている。
修繕履歴は、過去に2回の外壁等大規模修繕、台所排水管更新、共用部給水管更新、給水システム変更、エレベーター改修等の工事を適切な時期に行っており、メンテナンスの意識が高い管理組合である。
また、東日本大震災後に妻壁のタイルの浮きが懸念されたため、赤外線カメラによる調査結果を踏まえ、妻壁タイル不良部補修のみの工事を平成23年に実施している。
2、管理組合の取り組み
管理組合では、第3回大規模修繕工事を実施するにあたり、日住協の大規模修繕支援制度サービスを利用し、設計事務所の選定~設計事務所による建物調査~基本計画検討~実施設計~施工業者選定と着実にステップを踏みながら計画を進めていった。
打合せは理事会・日住協・設計事務所の3者で月1回のペースで行い、設計事務所による調査結果報告や基本計画の提案を受け、理事会からの意見・質問、日住協の第3者の立場による管理組合目線の意見を出し合い、活発な意見交換の場となり、一つ一つのステップをより深く検討しながら進める事が出来た。
3、工事概要
工事内容は躯体補修・シーリング改修・外壁及び鉄部塗装・金物改修・防水改修等の通常行われる修繕工事に加え、玄関扉の取替・排気ダクト補修・アルミ手摺のメタリック塗装を行っている。
排気ダクト補修は、工事の数年前から浴室系統の排気口から外壁に錆汁が流れている現象が見られており、管理組合で調査を行った結果、排気ダクト内に挿入されている鉄製の防火ダンパーが腐食しており、排気ダクトにも腐食による穴あきが確認された。(写真参照)この調査結果を踏まえ、今回の工事では防火ダンパー・排気口金物の取替及びダクト腐食部の部分取替を住戸内から内装を一部解体して行った。
工期は今年の1月中旬~6月までの約5・5ヶ月を予定していたが、天候の影響・メタリック塗装の工数の増、既存のウレタン塗膜防水の想定以上の浮きによる剥離作業の増等により工期を1ヶ月延長し、7月末に工事が完了した。
4、最後に
今回の工事が成功した要因は、日住協の支援制度を始めた平成24年7月から工事が完了した平成26年7月までの2年間を、理事会が主導となり、居住者への広報等の積極的な居住者対応を行った事が大きく、また居住者の工事への理解と協力の賜物と感謝する次第です。
(設計・監理/八生設計事務所 担当者)
「設計・監理=有限会社八生設計事務所、施工=南海工業株式会社」
(2014年9月号掲載)