給水・給湯・排水各設備改修工事 工事費の一部を機構融資で賄う:2015年11月号掲載
給水管・給湯・排水各設備改修工事を卆えて T住宅(厚木市)
1、組合概要
小田急線本厚木駅から北々西約7kmの約2300世帯からなるニュータウンの中にあり標高100M前後に位置します。後背地に標高235Mの鳶尾山が迫っています。入居開始は昭和52年で鉄筋コンクリート造壁構造5階建10棟、総戸数250戸、集会室1棟。
2、管理体制と長期修繕改修計画態勢
(1)入居当初5カ年は管理委託(JS)、6年目からは自主管理体制へ移行、今日迄30年余経過。
(2)自前の長期修繕計画態勢には入居17年目(自主管理になって12年目)からはじめ、数次にわたり更新努力をつづけ、現在は平成21年12月作成の計画書を資金計画のよりどころにしています。
(3)この計画書にもとづき標題の大事業に挑戦し、計画上、積立金は1・13億円の赤字でした。
3、工事計画の要点
(1)計画範囲
○給水設備については受水槽方式から、県水道直結給水方式に変更。
○給水・給湯設備は給水栓を除き全部更新。但し給湯器を除く。
○管種については県水道局指定部分を除き水道用高性能ポリエチレン管に全面更新。
○排水設備については浴室・洗面・洗濯排水系統を工事対象とし汚水系統・台所排水系統は計画外。管種は耐久性能硬質ポリ塩化ビニール管に全面更新。改修範囲は専有部から棟外第一枡迄。
(2)施工状況
設計監理は(株)建物保全センター、施工会社は、日住協・浜管ネットの賛助会員より専門会社8社を指名。その後審査を経て、(株)太平エンジニアリングに決定。工事金額3億1500万円、工期=H24年5月~25年2月
4、工事に至るまでの管理組合の努力と特徴
(1)過去の大規模な工事は次の通り。
築11年目/集会所・管理事務所拡張工事、築12年目/第1回外壁等総合改修工事、築27年目/第2回外壁等総合改修工事、築32年目/電気設備改修工事、築35年目/今回の諸設備改修工事。
(2)外壁等総合改修工事における躯体の状況を確認し、築60年以上の耐久性を判断し、その中間時点で当建物の生涯に1度の大事業を先送りせず実施を決心しました。
(3)本件計画内容等を検討、そして答申案に至る迄の当時の長期修繕計画調査委員会の数年にわたる努力があって計画決定に至る手順が進展した。それに伴い理事会の増強組織としてこの大工事のための「実行委員会」という執行部を編成。工事完成を見届けた本年1月末に使命達成解散し、数人の委員が残り、この工事にかかわる記録整理に移行しています。
(4)工事実施について施工計画上各戸内に立入る工程もあるので十分理解をうるため、3回にわたる総会を実行しました。第1回はこの工事計画の組織としての基本計画の承認をうるためのもの。2回目は工事設計にもとづく実施計画、そして業者の選定方針等の承認を求め、関連して多額の借入金計画の承認、組合規約の一部改正についての承認を求めることを含めた臨時総会。3回目は以上の経過の仕上げとして関係事項の執行に関する承認を求めた。数名の反対はありましたが、大多数の合意を得ました。
(5)3回の総会手順に適合させるための借入金対策としては、住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」に計画的に積立てしてきた努力もあって、同機構から1億2000万円の融資を受けることができた。元金均等払い、5年返済。
(6)もっとも不安だったのは250戸全部の工事が出来るかでしたが、全戸施工完遂出来ました。心配だったのは工程上各戸入室の一週間がさけられなかったからです。
そして幸いなことは、このもっとも苦痛のこの工程が10月~12月で、これをやり遂げて、いい正月を迎え新春を寿く会で談笑しながら苦労を語り合いましょうと全戸に呼びかける声援チャンスがあったのです。
5、むすび
全戸結束の街区力で大きな印象的な共有経験を積み重ねることが出来たのです。そしてホッとする休息ではなく、すぐ次に、我々のため今何をすべきかの呼びかけ開始に移行しています。(T住宅管理組合理事長・近藤博隆)
設計・監理=株式会社建物保全センター、施工=株式会社太平エンジニアリング
(2015年11月号掲載)