窓サッシの更新工事を前倒しで実施:2023年12月号掲載

H住宅(千葉県白井市)

 11月3日(土)、千葉県白井市のH住宅管理組合において、NPO日住協千葉県支部が主催する工事事例研究セミナーが行われた。

 当日は14人の管理組合関係者等が参加。同管理組合理事長から同住宅のこれまでの工事履歴も含めた挨拶の後、今回の工事で設計監理を務める㈱スペースユニオンの奥澤健一氏から詳細な工事の説明が行われた。

建物概要及び工事履歴

 同住宅は、北総線白井駅から徒歩約10分に位置し、1980年(昭和55年)に入居開始。築43年、PC造、5階建、13棟、300戸の団地である。

 これまでの工事履歴は、1992年(平成4年)に第一回大規模修繕工事、2007年(平成19年)に第二回大規模修繕工事、その他、2019年(令和元年)に県水道管からの給水方法を、増圧直結給水方式に変更する工事を行い、同時に給排水管の更新工事を行っている。

工事着手まで

 同管理組合では給排水管改修工事後、2020年に長期修繕計画の見直しに着手。翌年、建物の現況調査と合わせ、住民アンケートを行ったところ、2019年に千葉県を襲った台風の影響もあり、窓の不具合を訴える声が多く寄せられていた。

 現況調査と住民アンケートの結果を受け、2021年の秋から、来る第三回大規模修繕工事に向けた検討が始められたが、新型コロナ禍の拡大により検討は多少滞ることになる。しかし2022年夏から検討を再開した。

 当初の長期修繕計画では、2022年に第三回大規模修繕工事を実施し、その際、玄関扉の更新を行う予定になっていた。またアルミサッシについては、2026年に更新の予定となっていた。

 しかし、先の現況調査で、外壁の状態は一部にチョーキングが現れているものの、概ね良好であったこと。バルコニー床の防水シートも良好で、他の部位もそれほど劣化が進んでいなかったことなどから、第三回大規模修繕工事を一年遅らせ、2023年に実施することとした。

 また、築40年を超えた同住宅においては、建物の高経年化及び居住者の高齢化といった観点から、今後も住み続けられるマンションを目指すには、この時期に居住性能の向上を積極的に検討することが重要な課題と考えられたため、窓サッシの更新については、玄関扉の更新に合わせ、前倒して、第三回大規模修工事と同時に実施することとした。

 こうして2022年8月には大規模修繕工事の実施計画が定まり、その後、施工者の選定も始まった。本紙も含めた業界紙への公募を行い、公募6社を比較・検討した結果、日本総合住生活㈱が施工会社に決定した。

補助金申請のため総会を前倒しして開催

 今回の窓サッシの更新には、環境省の「先進的窓リノベ事業」を活用している。同事業は2023年5月から公募が開始されたが、予算に制約があるため、早めに事業の申請を行う必要がある。工事の施工は2023年8月からを予定していたが、同事業では、補助金の申請は施工会社が行うことになっており、申請には発注者と工事請負契約が締結されている必要がある。そのため、2月から窓サッシの改修も含めた全体説明会を開催し、翌3月には、発注者を日本総合住生活㈱とすることを承認する総会が開かれ、承認を受けている。

カバー工法を採用

 玄関扉及び窓サッシでは、いずれも既存の枠の上に新しい枠をかぶせて取り付ける「カバー工法」を採用。

 玄関扉は耐風圧、気密性等ハイスペックな扉を採用。施工時間は、概ね一戸あたり2~3時間程度。

 

 窓サッシは、複層ガラスの間に熱を伝えにくいアルゴンガスを充填し、かつガラスの表面にLow―E膜をコーティングし、断熱性能を高めた。さらにサポート引手を取り付けることで、重い複層ガラス戸を開ける際の力をサポートできるようになっている。施工時間は一戸(引き違い窓2+小窓1)あたり3~4時間程度。

 

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 見学会では、まだ工事が進んでいる中、施工会社が事務所として使用している一室を解放し、改修後の玄関扉及び窓サッシを確認。案内訳の日本総合住生活㈱の担当者に質問を行うなどしていた。最終的に2024年3月に工事は完了する予定である。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2023年12月号掲載)