「なぜこの国は重大事件が起こるたびに危機管理の戦略戦術の失敗を繰り返すのか」★「この根底にある問題を抉りだす」とした柳田邦男氏の『この国の危機管理失敗の本質』が発行された★柳田氏は一九六六年の連続航空機事故以来、事故や災害の取材を続けてきた★氏によれば最近十年余りでは東日本大震災、東電原発事故、コロナ感染症が三大事件である★これにたいする国の対応の根底に国民の生命と生活を守る長期戦略がないという★コロナでは求められていた最初期の敏速な対応が欠けていた★原発では考えられる最悪の事態への対応はあえて想定外におかれた★マンションの危機管理はこれら国政の大きな問題とは次元を異にする★しかし長期のビジョンをもつこと、都合の良い想定に頼らないことは、同様に変わらぬ重要な視点だ。
集合住宅管理新聞「アメニティ」477号(2022年6月)掲載