災害関連死ゼロの社会を目指す㉘ 2023年4月

東日本大震災では、被災地全体の死者数のうち65歳以上の高齢者の死者数が約6割に上り、また障害者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍も高かったことが指摘されました。

要配慮者(災害時要援護者)の避難誘導
このように大規模な災害発生時には、地域で暮らす障害者や要援護高齢者など災害対応能力の弱い者(以下「災害時要援護者」という。)は、情報の入手や自力での避難が困難なことから、大きな被害を受けることが想定されます。また、近年、訪日外国人旅行者の増加傾向が続く中、外国人旅行者の行動や避難誘導の課題を理解し、いざというとき、スムーズに避難誘導をできるような体制の構築が求められています。

要配慮者に該当する人
介護が必要な高齢者、心身障がい者、目や耳の不自由な人、高齢者、乳幼児、妊産婦、外国人など

今回はその中で「高齢者」「肢体不自由な人」についての避難誘導を中心に述べていきます。

高齢者への対応
まず高齢者の場合、高齢者の寝室は、倒れたり落ちてくるものがないようにし、できるだけ避難しやすい場所に設けます。また避難時の移動に備え、幅の広い紐や車いすなどの用意しておきます。次に避難誘導のポイント記します。

避難誘導のポイント
・声かけをし、状況説明および避難が必要かどうかの確認をする。
・素早い避難行動が困難な場合があるので、状況によっては車いすやストレッチャーなどの移動用具を使用した避難誘導を行う。
・移動用具が確保できない場合には、おぶいひもでおぶったり、毛布等で作った応急担架等により避難させる。

肢体不自由な人への対応

病気やけがにより上肢や下肢などの機能に障害がある場合、立ち上がったり、座ることや歩行が困難になり車いすや義足等の補助器具が必要です。ただその場合、車いすなどが転倒した家具などの下敷きにならないよう配慮するとともに、暗闇でもわかるようにしなければなりません。次に避難誘導のポイント記します。

避難誘導のポイント
・自力歩行や素早い避難行動が困難な場合があるので、状況によっては車いすやストレッチャー等の移動用具を使用した避難誘導を行う。
・車いすを押すときは、事前に一声かける。
・移動用具が確保できない場合には、おぶいひもでおぶったり、毛布等で作った応急担架等により避難させる。

次回は聴覚・言語障害や視覚障害者の方などへの対応について述べていきます。

災害関連死ゼロフォーラム

https://zero-forum.jp/

一般社団法人地域防災支援協会

https://www.boushikyo.jp/

一般社団法人日本環境保健機構

https://jeho.or.jp/

集合住宅管理新聞「アメニティ」487号掲載