
災害関連死ゼロの社会を目指す㊵ 2025年4月
融 雪
今年は強い寒気が日本列島に流れ込み、日本海側地方のみならず日本各地の広い範囲で豪雪に見舞われました。この寒い冬も過ぎ、気温が上がってくる春は、積った雪が溶けて「融雪災害」が起こりやすくなります。「融雪」とは、急激な気温の上昇や大雨などで雪が溶ける現象のことをいいます。
この融雪が起こるといくつかの災害が発生しやすくなります。
融雪災害
まず1つ目に河川の増水や道路冠水が挙げられます。融雪によって、河川の水位が急激に上昇させるためで、河川や池、用水路には注意が必要です。
2つ目は最大で時速200㎞ものスピードにもなる雪崩(なだれ)になります。これは斜面を雪がすべり落ちるために発生します。この傾斜は、一般的に30度以上になると発生しやすくなり、特に35度から45度が最も危険と言われます。雪崩の前兆現象としては、◎昔なだれが発生した斜面、◎降雨後や気温上昇、◎積雪の亀裂が拡大などが挙げられます。
雪崩に遭わないように心がけることは、ハザードマップで、危険個所を把握したり、気象庁の雪崩注意報(なだれ注意報)を確認することが大切です。万が一、雪崩に遭遇した場合のために、全国地すべりがけ崩れ対策協議会「雪崩対応安全ガイドブック」で具体的な対策が紹介されています。
3つ目は、土砂崩れなどの土砂災害が挙げられます。融雪で土砂災害が発生するのは、大量の水分が土中に浸み込み、地盤が弱くなることが原因となります。土砂災害の前兆現象としては、◎湧水量の異常な増加、◎井戸水のにごり、◎亀裂、陥没の発生などが挙げられます。特に山間部や急傾斜地では注意が必要です。
4つ目が、屋根からの落雪です。気温の上昇により、屋根に積もった雪が落下してくる危険があります。軒下などを歩く際には、屋根からの落雪に注意となります。また、FF式石油ストーブの排気筒が雪に埋まった状態で使用した場合、不完全燃焼を起こし一酸化炭素が室内に流入し、死亡事故につながる危険性があります。
※FF式石油ストーブとは、壁の吸排気筒を通して室外から空気を取り入れて燃焼させ、燃焼後の排気も自動で排出する構造のストーブ
このように暖かくなってきたら起こりうる災害というものがあります。融雪期の注意として、外出時や悪天候の際は、気象情報を確認することが大切です。
一般社団法人地域防災支援協会
https://www.boushikyo.jp/
一般社団法人日本環境保健機構
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