災害関連死ゼロの社会を目指す㉟ 2024年6月
『災害関連死』
災害死には「災害直接死」と「災害関連死」に大別されます。災害直接死は家屋倒壊による圧死や火災により焼死、津波による溺死などその災害が直接人体に影響を及び死に至らすことを言います。一方、災害関連死とは地震や津波といった災害発生時に直接的な負傷などなくても、それまでと異なる避難生活によるストレスや生活環境の悪化、精神的な苦痛、被災地の病院機能の低下などといった間接的な要因で亡くなることを災害関連死といいます。東日本大震災における震災関連死の死者数は3802名と復興庁で発表がありました(令和5年12月31日現在)。また現状として元旦に発生した能登半島地震においても災害関連死の疑いがある方が増えています。
災害関連死が発生する主な理由
では一体どのように災害関連死は発生するのでしょうか。災害関連死が発生する理由として挙げられるのが次のものになります。
◎避難生活による疲労およびストレス
◎避難中の移動による疲労
◎病院の機能停止による持病悪化
◎エコノミークラス症候群
◎水分や栄養不足などの衰弱死 など
原因の1つとなる避難生活による疲労及びストレスですが、具体的には「十分な栄養や睡眠がとれない」「トイレやシャワーなどが不十分かつ衛生面が気になる」といった身体的な悩みや、「災害のショック」「周囲に気を遣う」など精神面での負担も要因として挙げられます。さらに健常者でなく既往症の方の場合、より顕著に疲労やストレスが現れます。
その他、同じ姿勢で居続けることで足や下半身などに血液のかたまり(血栓)ができ、突然の胸の痛み、呼吸困難や息切れなどを引き起こすエコノミークラス症候群という病気があります。
重症の場合は、意識障害が起きたり、ショック状態となったりする恐れがあり、放置すれば命にかかわることもあります。
このように災害に直面し、その時間経過ともに様々な要因で災害関連死は起こります。それらを防ぐために知っておく方が良いことを次回で述べてまいります。
一般社団法人地域防災支援協会
https://www.boushikyo.jp/
一般社団法人日本環境保健機構
https://jeho.or.jp/
(集合住宅管理新聞「アメニティ」501号2024年6月)