みどりのちょっと良い話
芝生の効用
春の訪れとともに、日に日に芝生の緑が眩しくなってきました。30年から40年前に建設された郊外の団地は住棟の間隔が広く配置され、住戸の南側には芝生の空間が広がり、ベランダから見おろす青々とした芝生は憧れの景色でもありました。青々とした芝生は目を楽しませてくれるだけでなく、ストレスの軽減やリラックス効果など様々な効用を持っています。今回は、芝生の効用についてお話してみたいと思います。
気温上昇の抑制
夏の暑い時期、芝生の空間はアスファルトやコンクリートの空間に比べて、気温が10度以上も低いと言われています。芝生は直射日光に照らされていても、アスファルトやコンクリートのように地表面が熱くなることはなく、また地中や芝生に蓄えられた水分が蒸発することによって、気温の上昇が抑えられて過ごしやすい環境を提供してくれます。
雨水の浸透効果
都市化が進み、舗装された空間が増えたことにより、短時間に大量に降った雨が道路などに溢れ出して通行への支障や浸水などの被害が発生しています。芝生地は雨を地中に浸透させるとともに、地表に溜まった雨水は芝生の葉や根を伝って地中に徐々に浸み込み、雨水が溢れることを防いでくれます。また、浸みこんだ雨水は地中に蓄えられ、気温上昇の抑制や芝生が生育するのに必要な水分として活用されます。
ストレスなどの軽減
近年、幼稚園の園庭や小学校の校庭を芝生にする取組みが増えています。園庭や校庭を芝生にすることで子供の健康や運動能力、情緒などに効果があるという調査結果が数多く発表されています。例えば、硬い地面が芝生になることで屋外に出る機会が増え、身体を使った活動的な遊びが増えたり、芝生の上に座ったり、寝転がったりというくつろぎ的な利用も増えることで、子供たちの運動能力の向上やストレスを発散する効果をもたらし、怒りや睡眠障害などの軽減にも繋がっているそうです。
ここで紹介した以外にも生きものの生息空間としての役割や土ぼこりの飛散防止、騒音の吸収など様々な効用を持っています。これから夏に向かって芝生が生長し、芝刈りや除草などのお手入れも増えてきますが、芝生の様々な効用や役割を思い出しながら、お手入れを楽しんではいかがでしょうか?
様々な効用を持つ芝生の空間
(株式会社グラック 西山秀俊)
【集合住宅管理新聞「アメニティ」第428号(平成30年5月5日発行)掲載】