緑のちょっと良い話(1)

マイツリーを見つけよう

いよいよ春本番。早春のウメやサクラ、コブシなど、春の訪れを知らせてくれる花がひと段落し、新緑も本格的に芽吹き始めました。また、ハナミズキやヤマボウシが咲き始めるとともに、花壇に植えた草花もぐんぐんと成長し、色とりどりの花を咲かせて私たちの生活を楽しませてくれます。
植栽した当初は小さかった樹木ですが、子供たちが年々成長するのと同じようにあっという間に大きくなり、たくさんの花を咲かせ、夏の木陰をつくり、秋には紅葉を楽しませてくれます。また、団地やマンションのシンボルになったり、緑豊かな住環境をつくるなど、なくてはならない存在となってきます。

この度、熊本地方では大きな地震が発生して大きな被害を出しましたが、大きく成長した樹木は火災の延焼を防いだり、家やブロック塀などを支えて、倒れるのを防いでくれたりもします。東日本大震災で大津波に耐えた「奇跡の一本松」のように、災害で打ちひしがれた心を勇気づけてくれたりもします。
子供が生まれたときにきれいな花が咲いていた、入学式の日にサクラを背景に写真を撮影したなど、生活と樹木に関わる思い出はたくさんあり、家族の成長と樹木の成長を重ね合わせてみることもあるかと思います。
これらのように私たちの生活と樹木、季節を彩る樹木は切っても切れない関係にあり、私たちが大切にする気持ちを持って接し、手入れをすれば、必ずや樹木も私たちに応えてくれるはずです。子供の成長と同じように、樹木の成長には時間も手間もかかります。でも、日頃からちょっとした思いを持って樹木を見ていれば、枝が枯れて折れそうだ、水が不足して枯れそうだ、虫や病気が発生しているといったことがわかると思います。早めに異常を発見して対応すれば被害も広がらず、健全な成長にもつながります。
大切な樹木、緑を大切に育てるために、私だけのお気に入りの樹木、思い出の樹木「マイツリー」を見つけ、樹木との良い関係をつくって楽しんでみてはいかがでしょうか?
(株式会社グラック 西山秀俊)

(2016年5月号掲載)