緑のちょっと良い話(2)
「夏の日差しと緑の役割」
9月になったとはいえ、まだまだ残暑厳しい日が続いています。そんな中、外出先で強い日差しを和らげてくれる大木や街路樹の木陰のありがたさはみなさんも実感していると思います。ヒートアイランド現象の進行も含めて、高温化した都市における緑の役割や効果は大きなものです。
分かりやすい例としては、大きく枝葉を広げた樹木は太陽光を1割程度遮り、輻射熱による気温の上昇を和らげてくれるというものがあります。また、広場や公園などの大きな樹木や連続性のある街路樹の下に入った時に涼しく感じるというものもあります。これは、樹木の枝葉が太陽光を遮ることに加え、葉の蒸散作用によって周辺の空気が冷やされる効果によるものです。蒸散作用とは、樹木の体内にある水分を水蒸気として葉を通して空気中に放出する際、周囲の気化熱を奪って周囲の気温を下げる効果を発揮します。
例えば、木陰の代わりに人工的に日除けを作ったらどうなるでしょう?日除けや日陰をつくることはできますが、庇自体が太陽光で熱せられ、その熱が周囲の空気を温めるため冷却効果はなく、余計に周囲の気温を上昇させてしまいます。樹木の葉は非常に薄く柔らかいものですが、大変な働きをしていることをお分かりいただけると思います。
このように夏の日差しを和らげ、夏の高温から私たちを守ってくれる樹木ですが、これからの台風シーズンでは強風で根こそぎ倒れたり、太い枝が折れて事故を引き起こすことがあります。このようなことが起きないよう、台風シーズンの前には樹木の点検をしてみると良いでしょう。幹が割れたり、幹や根元にキノコが発生している樹木(倒木する恐れがある樹木)を見つけたら、樹木の専門家(樹木医や植栽管理会社など)に相談して伐採などの対応してもらう、夏なのに葉をつけていない枝は枯れている証拠であり、強風で折れる可能性が高いので、枯れた枝の除去を通して大事故が発生することを防ぐことができます。
(株式会社グラック 西山秀俊)
(2016年9月号掲載)