役目を終えた本を必要な人に 古本を再生させる「ジョブボン」(2021年1月号掲載)
あなたの家に、昔読んで、そのままになっている本や、子どもが小さいころに読んであげた、捨てるには忍びない想い出の絵本等は本棚にないでしょうか。いまのあなたには必要のないその本を、必要としている人がいるかも知れません。そして、役目を終えた本と、その本を必要とする人をつなぐことが、障害者の人達の自立を支援することにに繋がっているというのです。
古本を回収し再生させる「ジョブボン」システム
(一社)ワーキングバリアフリーが展開する「ジョブボン」という活動は、役目を終えた本を回収する「ブックポスト」を企業や団体等に設置させてもらい、ブックポストに集められた本を、定期的に近隣の障害者福祉施設が回収します。障害者福祉施設では、回収した本を仕分けし、汚れのある本をクリーニング。きれいになった本をアマゾン等のネット通販に出品し、買い手のついた本を梱包し発送します。これら一連の作業を障害者の人達が行い、通販の売り上げが障害者の人達の賃金となっています。 この活動で、障害者の人達の就業機会を創出し、彼らが賃金を得ることで、自立を目指しています。
これまで、協力団体・企業等50、ブックポストの設置数117か所、累計の本回収数は約14万6千冊(2020年12月現在)となっています。
マンション管理組合も活動に協力中
この活動には複数のマンション管理組合も協力中で、埼玉県戸田市のグランシンフォニア戸田公園(築4年、923戸)もジョブボンの活動に協力している管理組合のひとつです。
同マンション管理組合理事の塩原さんに、協力に至る経緯をうかがいました。
「当マンションでは、マンションの維持管理を円滑に進めるには、コミュニティ形成が重要と考え、理事会とは別に『シンフォニアクラブ』という組織を立ち上げています。今年は新型コロナウイルスの影響でできていませんが、通常なら年に10回程度、マンション内のコミュニティ形成につながるイベントを企画しています。」
とのことで、コミュニティ形成に力を入れる中で、「個人的に『ジョブボン』の活動を知り、これだけの世帯数があれば、当マンション内にも障害者のいらっしゃるご家庭もあると思われたため、そういったご家庭も含めたコミュニティ形成が必要と考えると同時に、障害者の方たちを知る機会と自立支援にもつながるこの活動に協力したいと思いました」と塩原氏。
そして、塩原氏がクラブとして理事会にブックポスト設置の提案をしたところ、反対もなく承認され、設置に至ったそうです。
同マンションのエントランスに設置されたブックポストには、毎月平均して50冊程度の本が集められています。
バーコードの付いた本が回収の対象
回収の対象となる本は、一般の書店で流通する、本の裏にバーコードがついている本ならば、本の状態・種類を問わず回収されます。
本を回収する範囲は、同事業を運営する(一社)ワーキングバリアフリーの担当者によると、「現在、本の回収を請け負ってくれる障害者施設を増やし、回収できる地域を広げてはいますが、それでも対応できない地域はあると思われますので、ブックポスト設置をご検討いただける管理組合様におかれては、事前にご連絡いただき、ご相談いただきたい」とのことです。
同事業にご関心のある管理組合は、
連絡先(一社)ワーキングバリアフリー
電話050ー5438ー5704までご連絡ください。
集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年1月号掲載