身の回りの整理をしよう⑤ 墓じまい その1
関係者とよく話し合いましょう
今月は「お墓の整理」についてのお話です。
お墓参りは必ず年3回行くと決めている人や、お彼岸等に関係なく、都度お参りしている人、遠いから全くお参りしていない人など、その機会は人様々と思います。
そのお墓にまつわる悩み事が最近は増えているようです。「遠くのお墓に行くのがつらくなってきた」「自分以外にお墓を守る人がいない」等の理由で、「墓じまい」をし、お参りしやすい近くの墓苑や納骨堂に、お骨を移動する人が増えているようです。
この「墓じまい」なかなか難しいのです。これまで取り上げた、自分の身の回りのモノや人付き合いの整理は、自分の一存で「捨てる/残す」「付き合いを続ける/止める」等、決めることができます。しかし、お墓はそうもいきません。お墓には自分以外の関係者が多いのです。
既にお墓に入っている人は何も言えませんが、入っている人の親戚等が関係者となりますし、お寺も関係者になります。
関係者①親戚等
戦後に民法が改正されるまで、お墓は家の財産とともに家族の長子が独占的に継ぎ、先祖を祀り続けるものとされてきました。現在そのような決まりはありませんが、今でも戦前の慣習に従い、家の長男・長女がお墓を継ぐ例が多いと思われます。こうして、お墓の引継ぎが繰り返されればされるほど、関係者が増えてきます。
お墓への接し方は人により異なるでしょうが、お墓参りを欠かさず続けてきた人が、突然、肝心のお墓が何の相談もなく、どこか遠くに移転されてしまったらどう思うでしょうか。困惑し、それが次第に怒りに変化するかもしれません。
そのようなことが無いよう、「墓じまい」をしたい理由・状況を親族等の関係者には十分説明し、同意を得ておくことが後々のトラブルを回避することになります。また、事前に親族等に相談することで、新たな管理者が見つかるかも知れません。
関係者②お寺
特に普段意識していませんが、ご自身が何らかの仏教の宗派に属し、その宗派のお寺と関係があるという方も多いでしょう。江戸時代の檀家制度の名残ですが、それぐらい、お寺との付き合いが長く、かつ、お墓もお寺の境内にある人もいることでしょう。
先祖代々の供養を行ってくれるお寺の存在は有り難いものです。しかし、お布施の支払いなど、お寺との付き合いはそれなりにお金がかかります。お寺としても、寺の運営を続けるため、檀家の存在は欠かせないのです。
しかし、「墓じまい」の話がでたらどうでしょう。お墓を別に移すということは、檀家を抜けることを意味します。お寺側としてはいい話ではありません。ここがトラブルにもとになる場合があります。高額な「離檀料」を請求されるということもあるようです。
そのため、お寺側にいきなり「墓じまい」を通告するのではなく、お墓の維持が困難になっていることを事前に相談することで、トラブルを回避しましょう。
(2020年2月号掲載)