身の回りの整理をしよう⑥ 墓じまい その2
先月は、関係者(親戚、お寺)との話し合いをしたうえで、墓じまいをするようお伝えしました。
関係者との話し合いが済めば、あとは勝手に墓じまいをしても良いのでしょうか。そうもいかないのです。
墓じまいには手続きが必要
お墓に関しては「墓地、埋葬等に関する法律」という法律があり、墓じまい(同法上は改葬。以下改葬)をするには一定の手続きが必要です。
改葬手続き
①改葬先を決めて、改葬先の墓地の管理者から受入許可証、墓地使用許可証等、新たな墓地の使用を認めてもらう書類を入手します。
②お墓がある市区町村から改葬許可申請書を取り寄せます。市区町村のホームページに書式がアップされている事もあるので、確認しましょう。
③改葬許可申請書に、被葬者ごとに必要事項を記入するとともに、改葬元の墓地管理者から、被葬者が埋葬されていることを証明する署名・捺印をもらいます。
④お墓がある市区町村に改葬許可申請書、受入許可証を提出し、市区町村長から改葬許可証を受け取ります。
⑤改葬元に改葬許可証を提出し、墓地から遺骨を取り出します。
⑥改葬先の墓地に改葬許可証を提出し、遺骨を埋葬します。
大まかな流れはこのようになります。
原状回復も必要
書類上の手続きは右に述べた通りですが、もう一つ大事なことがあります。それが元のお墓の原状回復です。
よく「お墓を買う」と言いますが、「お墓を建てる土地の使用権を寺院や霊園の管理者から買う」ので、お墓がある土地の一角は寺院や霊園のものですから、お墓を建てる前の更地に戻して返す必要があります。
自分で墓石の撤去はできませんので、石材業者に依頼することになります。その際、仏教の宗派により異なりますが、「閉眼供養」を行うことが一般的な様です。僧侶を呼んでお経をあげてもらうことで、墓石に宿った故人の魂を抜くという儀式です。
このように墓地を元に戻すには、
①石材業者を手配し、
②閉眼供養を行う
という手続きを踏むことが多いようです。
気になる費用は、墓石撤去が1㎡あたり10~15万円が相場と言われており、重機が入りづらく、人手での作業が多くなる場合や、墓石が特殊な構造の場合などは、費用が加算されることもあるため、事前に石材業者に確認しましょう。その他、撤去した墓石を改葬先でも使用すると、その輸送費、廃棄すれば廃棄費用もかかります。
閉眼供養も僧侶への車代、お布施。また寺院への離檀料などが必要です。
その他、改葬先をどうするかにもよりますが、墓石を設置すればその設置費と開眼供養(墓石に故人の魂を入れる)費、墓地の使用料等々を合わせると、改葬にかかる費用は、100万円を優に超えることもあります。
このように、改葬は手続きのほか、それなりに費用がかかります。そのため後顧の憂いを無くしたいとお考えの方は、元気なうちにご検討を。
(2020年3月号掲載)