身の回りの整理をしよう⑦  墓じまい その3

 先月は、墓じまいに必要な手続きを説明しました。墓じまいは、まず改葬先の墓地管理者から、墓地の利用許可を取ることから始まりました。そこで、今月はいろいろある改葬先をご紹介します。

1 霊園・墓園(公園墓地)

 最もイメージしやすいのが霊園・墓園と呼ばれるところに墓石を設置して埋葬することです。

 霊園等の運営主体は公営、民営とありますが、公営の場合、数が限られているため、民営に埋葬することが多くなると思われます。

 宗教や宗派を問わず受け入れてくれますが、墓地区画の使用料や墓石の設置費、毎年の管理費等、それなりに費用は掛かります。

2 永代供養墓

 霊園・墓園は「自分以外にお墓を守る人がいない」から墓じまいをする人には、現実的な選択ではありません。

 そこで選ばれているのが「永代供養墓」です。

 「永代供養墓」は、霊園や寺院等の管理者が遺骨を管理し、供養を行ってくれるため、改葬後の管理の心配が無いお墓です。宗教・宗派を問わず受け入れてくれますが、供養は、受け入れ先を管理する宗教・宗派の様式で行われることになります。一般のお墓の様な専用の区画に墓石を設置しないため、比較的手ごろな費用で済むことも特徴のひとつです。

 「永代供養墓」には次の3つがあるようです。

①合祀墓
 合祀墓(合葬墓・合同墓)は、遺骨を親族等の血縁で区別することなく、他人のものもまとめて埋葬するものです。

合祀墓イメージ

②樹木葬
 樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標とするもので、遺骨は骨壺から取り出し、土の中に埋葬します。埋葬は、個人専用の一区画に樹木を植え、その下に遺骨を埋めるものと、シンボルツリーとして一本の樹木を植えた広い区画に複数の遺骨を埋葬するものがあります。

③納骨堂
 納骨堂は、他人のものを含め、遺骨が建物の中に、骨壺のまま安置されます。安置の仕方は、ロッカーの中に骨壺を安置するロッカー型、仏壇の下が骨壺の収蔵場所になっている仏壇型、機械で呼び出すと、骨壺が搬送されてくる自動搬送型があります。

費用は千差万別

 気になる費用ですが、千差万別です。例えば、合祀墓は専用のスペースもなく、管理費もかからないため数万円で済むところもありますが、電車で気軽に行ける便利なところにある合祀墓は割高となります。それは樹木葬も納骨堂も同じです。

「永代」は「永遠」ではない

 「永代供養」と聞くと、永遠に供養してくれそうですが、違うことが多いようです。一般的に多いのが、33年で一区切りし、その後は合祀墓へ埋葬するケース。それが13年や50年のところもあります。いつまで供養され、その後はどうなるのかも確認しましょう。

「散骨」は自治体等に確認を

 遺骨を埋葬しない「散骨」は、自治体や散骨を行う業者によって取り扱いが異なるため、自治体や業者によくご確認を。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年4月号掲載)