身の回りを整理しよう⑬ 口座じまい
口座を一本化しよう
今回は「口座じまい」を考えます。ここでいう「口座」とは、銀行等の預貯金口座のことです。
一般の人の場合、皆さんは、ご自分名義の口座を全て把握しているでしょうか。
「預金専用と公共料金等の支払い専用の口座がある」など、複数の口座を使い分けている方も多いのではないでしょうか。
あるいは昔の勤務先で作った口座があるが、その後利用せず、そのままで「通帳はあるけど、印鑑がどれかわからない」「通帳も印鑑もどこにあるかわからない」という状態になっていないでしょうか。
後々のことを考えて、このような使っていない口座(定期預金も)は解約し、預金用、諸支払い用等も含め、利用する口座を一本化しておきましょう。
凍結された後がたいへん
口座名義人の死亡が金融機関に伝わると、金融機関は相続人間の相続内容が確定するまで口座を凍結することはご存知の方も多いでしょう。この凍結の解除がたいへんなのです。
口座金額の多寡を問わず、凍結を解除するには、故人の出生から死亡までの戸籍謄本等や、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書、遺言書、遺産分割協議書等まで揃えなければ、口座からお金は動かせません(金融機関で手続きが異なる場合があるため、ご確認を)(※)。
金融機関での手続きは、「いつまでに」といった期限は特にありませんが、解除手続きを口座の数だけ行うのは大変な苦労を伴うので、生前に口座を一本化しておきたいものです。
通帳・印鑑・キャッシュカードを一元管理
口座を一本化した後は、当該口座の通帳・印鑑・キャッシュカードはまとめておき、保管場所は、家族がわかるように記録しておきましょう。
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「口座じまい」を、死後、相続人が行えば大変な労力がかかりますが、生前に名義人本人が行えば、それほど手間はかかりません。生活のため一本にまとめた口座以外の預貯金口座は、整理しておきましょう。
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※ 2019年7月より、相続人間の承認がなくても、【預貯金残高×3分の1×その相続人の法定相続分】は故人の口座から引き出せるようになりました。ただし、一金融機関あたり150万円という上限があります。なお、この場合も、故人の戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本等は必要となります(金融機関で必要書類が異なる場合もあるため、要確認)。
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※ 相続手続では、故人の戸除籍謄本等を各種窓口に何度も出す必要がありますが、「法定相続情報証明制度」を利用すれば、手続きが簡素化されます。同制度は、2017年から始まったもので、登記所(法務局)に戸除籍謄本等を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出せば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。その後の手続は、この法定相続情報一覧図の写しで済むようになります。
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年10月号掲載)