自分を大切にしようー人生100年時代を健康に生き抜くために③
食べ方を考える①
今月は「食べ方を考える」と題して、食事について考えてみます。
食事に関する情報と言うと、お昼や夜のテレビ番組などで、特定の食材について、「〇〇の驚くべき健康効果」とか「〇〇を食べ続けたら血圧が下がった」といった内容を目にしたことのある人も多いのではないのでしょうか。
こういった情報を一律に否定するものではありませんが、これらのことを実際に実践した人、あるいは、今も続けている人はどのくらいいるでしょう。
私たちの体は数日食生活を変えただけで劇的に変わるものではなく、小さな積み重ねを継続していくことで変化していきます。継続できることが大切なのです。
食事のタイミングが重要
では、どうすれば継続できるのでしょうか。実は、食事に関しては多くの人が既に実践済みの習慣があります。
それは一日に3度の食事を摂ることです。
「そんなことか」と思われるかも知れませんが、3度の食事のうち、どの食事で何を摂るかが、私たちの体に影響していることが徐々に明らかになっています。
ズレを調整する朝食
私たちの体には、24時間のリズムをもつ「体内時計」が備わっています。しかし、この体内時計、実際には24時間+αのため、+α分、何もしなければ毎日ズレていきます。このズレを調整するのが朝、陽の光を浴びることと、朝食なのです。
体内時計のズレと言ってもピンときませんが、簡単に言えば、「時差ボケ」が日常的に起きている状態と考えてください。時差ボケで昼間でもボーっとしていたり、食事の時間が不規則になり、その積み重ねが肥満や体調不良の原因となります。
これらを解消するのが朝食なのです。朝食を摂ることで、消化器内にある体内時計の遺伝子がリセットされるのです。
栄養の吸収効率もアップ
朝食を摂るまで、前日の夕食から半日近く何も食べていない体は、栄養不足の状態です。そのため朝食を摂ると、栄養の吸収効率が高くなります。たんぱく質の吸収に関しては、朝食の方が、夕食よりも4倍吸収が高くなったという研究もあります。そのため、朝から体づくりのベースとなるたんぱく質と、エネルギーの元となる糖質をしっかり摂ることが重要なのです。
しかし、朝からあまりしっかり食べると、カロリーのことを気にする人もいるかも知れません。それも心配ありません。朝摂ったエネルギーは、一日で消費されてしまいます。朝しっかり食べたら、その分を昼・夕食で調整すればいいのです。
このように、既に多くの人が実践している一日3食摂るという習慣。その中でも朝食は重要なことがわかってきています。
毎日しっかり朝食を摂っているという人は、その習慣を続けていただき、「朝から食事を摂るのは苦手」という人も、是非習慣づけてください。
では、具体的にどういう食事をすればいいのかは、次号で。
取材協力:生活習慣ヘルスコーチ/作業療法士 小幡茂人
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年12月号掲載)