口の健康を保つ①
今月からは「口の健康を保つ」と題してお送りします。
これまで本欄では、老後の健康を保つために必要な情報もお届けしてきました。その内容を端的に言えば、高齢者ほど「よく食べ、よく動く」ということになります。しかし、これにはある前提があるのです。
それが、「口が健康である」こと。
よく噛むことで栄養の吸収を高める
高齢者ほどよく食べたほうがいい理由に、食べたものの栄養を体に取り込む能力が衰えていることが挙げられます。
そこで、食べる際よく噛むことがより大切になるのです。よく噛むことで、唾液の分泌がよくなり、唾液に含まれる消化酵素により食物が分解されることで、栄養の吸収がよくなります。
そして、よく噛んだものを飲み込むことも大事です。これも健康な歯があってのこと。
高齢になると、飲み込む込む能力が衰えてきますが、よく噛まないことで、さらに口から喉周辺の筋肉が衰え、飲み込むことが難しくなるという悪循環が生まれてきます。
高齢者になると、歯が弱くなるため軟らかいものを食べる人も多いかと思いますが、歯が健康なうちは、できるだけ歯ごたえのあるものを食べて、よく噛み、唾液をだす習慣をつけておきましょう。
噛めるから力がでる
次に運動ですが、高齢になればなるほど、筋肉が衰えることは知られていますが、筋肉に負荷を掛ければ、高齢者であっても筋肉は付いてきます。だから、生涯、できるだけ長い期間、自分の体で動けるように、よく動いて、現在ある筋肉を維持、あるいは筋肉をつけていきたいのです。
その時大切なのが歯なのです。
モノを持ち上げて、力を入れようとするとき、歯を食いしばることで始めて力が入ります。口を開いたまま力を入れようとしても、力は入りません。口と筋肉はつながっているのです。
動ける体を維持するためには、歯が健康であることも重要なのです。
人と話すことも大切
そして、口の健康を保つのに、以外と大事なのが人と話すこと。
コロナ禍以来、飛沫が飛ぶため、会食等で人と話すときはマスクを付け、必要以上に話さない生活が続いています。
しかし、人は話すことでも唾液の分泌が盛んになり、口の中が適度な湿り気を帯びた状態になるのです。一方、あまり話さない状態が続くと、口の中が乾き、それが口臭等の様々な口のトラブルの原因となります。
コロナ禍のご時世では難しいかもしれませんが、人と話す機会を多くすることで、よく口を動かすようにしましょう。
このように、できるだけ多くの歯を保ち、口の健康を保つことは、体全体の健康を保つことにつながっています。
次回は、どのようにして口の健康を保つのかを取り上げます。
【取材協力:日本橋三宮デンタルケアクリニック99 院長 三宮 恵子】