サービス付き高齢者向け住宅「サ高住」①
「サ高住」は賃貸住宅
最近、「サービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)」ができたという広告等を見かけたことはないだろうか。
この「サ高住」、4年前には全国でも約4万戸程度だったが、今年4月現在、約20万戸と急激に増えている。
「サ高住」とは民間事業者が運営する「賃貸住宅」である。そのため、入居には敷金と家賃を支払う。月々の費用は、家賃、共益費、後に述べるサービス料込で、全国平均約10万円。
入居できるのは、60歳以上の高齢者で、自立から要介護状態の人まで幅広く受け入れている。
各居室は原則25㎡以上(食堂等の共用施設が充実している場合は18㎡以上でも可)と決められており、建物全体は、段差等を解消したバリアフリー仕様。そして、「サービス」が付いてくる。
「サービス」とは
サ高住では、「安否確認」と「生活相談」の最低二つがサービスとして提供される。
「安否確認」とは、居住者が健在か確認すること。サ高住事業者が行うことが多く、機会は毎食後や一日一回など様々。原則日中に行われ、夜間は各居室の緊急通報装置で緊急時に対応しているところが多い。
「生活相談」は、日常生活の困りごとを相談できるサービスで、介護や医療に関する相談や、買い物やゴミ出し等の相談も受けられる。
その他、食事の提供や、掃除・洗濯のサービス等、事業者によって提供するサービスは様々のため、どのようなサービスがあるのか、確認が必要だ。
「介護」サービスは?
ここで疑問となるのが、「介護」サービスは提供されないのかということである。
サ高住で介護サービスを受けるには、外部の訪問介護や通所介護サービスを受ける。これらの費用は、先に述べた月々の費用とは別にかかることに注意したい。
サ高住事業者が介護事業者を兼ねていることも多い。例えば、3階建ての建物の1階が地域の人も利用できる介護施設で、2階以上が賃貸住宅と、建物内に介護施設が併設されており、そこから介護サービスを受けることも多いようだ。
「終の棲家」になるのか
介護サービスも受けられるので、サ高住が「終の棲家」になるのか、と言えば、必ずしもそうとは言えない。例えば、認知症が進み、併設する介護施設だけでは対応しきれない場合は退去の必要がでてくる。
あるいは、食事サービスが嚥下食(普通の食事では飲み込みが困難な人向けに工夫した食事)に対応できない場合には、嚥下食対応可能な施設を探す必要がでてくる。
このように、サ高住で受けられる介護サービスは、各住宅(施設)によりかなり幅がある。そのため、どのような介護サービスが受けられるのか、現状受けられるサービスと、症状等が進んだ場合も想定して確認しておくことが必要だ。
基本は「自由」な暮らし
整備が始まりまだ短く、いろいろと課題も多いサ高住だが、その特徴は、賃貸住宅のため高齢者向け施設に比べれば「自由」ということが言える。
そこで来月は、サ高住での生活の様子をお伝えしたい。
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2016年6月号掲載)