共用部の一部を居住者のワーキングスペースにリフォーム  コンセプトは「帰ってきたくなる住まい」(2021年7月号掲載)

 昨今のコロナ禍を受け、在宅勤務の導入が叫ばれて久しいが、時代を先読みして、共用部分の一部を「※コワーキングスペース」にリフォームしたマンションがある。
※コワーキング=Coworking:一つのオフィスに複数の企業が集まって仕事をする、共働的な働き方。シェアオフィスに近い。

リフォームに至る経緯

 東京都大田区にある、15階建428戸築19年のマンションでは、新築当初、託児施設として利用していた共用部分があったが、業者撤退の後はパーティールームとして使用され、さらに近年はパーティールームとしての利用も減り、備品倉庫となっていた。

リフォーム前の共用スペース

リフォーム後の共用スペース

 そこで同マンションの管理組合では、「なにか有効利用できないか」とワーキンググループを発足させ、検討を始めたところ、マンションリノベーションに実績のある「キュースタジオ(株式会社バレッグス運営リノベーションブランド)」に相談することとなった。

 ワーキンググループからは「マンションの価値向上につながる提案」「空間を有効活用できる提案」という使い方を含めた提案の希望があり、同社では、マンション居住者の年齢層や土地柄、ニーズの検討、他の共用スペースとの差別化を図る等、多岐に渡った検討を行った結果、「マンションの価値向上=帰ってきたくなる住まい」をコンセプトとする提案を行った。

 具体的には、仕事後、直接帰宅せずに、外のカフェ等で仕事をしてから帰宅する人に、一度住まいに帰ってもらい、夕食を家族で摂った後に、少しだけ仕事ができる「すまいと会社の中間地点」をマンションの中に作れば、もっと幸せな暮らしに繋がり、価値の高いマンションとなる。

 空間の実現に向け、ワーキンググループでは、住民説明会や全戸アンケートを実施し、同社ではワーキンググループのサポート役として、3Dパースや間取り説明の資料等の作成を行った。

 コロナ禍で、従来のように集まっての総会が開催できない中、各住戸に回覧を行ったりするなどした結果、2019年4月から続いたプロジェクトは2020年9月の総会で承認された。

 なお、このプロジェクトは、新型コロナウイルス流行以前から検討が行われており、その後の新型コロナウイルスの影響で、さらに「すまいと会社の中間地点」が求められ、マンション居住者間に高まったニーズも手伝って実現した。

リフォーム概要

 空間は、4室の個室テレワークスペース(有料・時間貸し)(写真1)とオープンスペース(無料)(写真2)に分かれている。

写真1 個室テレワークスペース(有料・時間貸し)

写真2 オープンスペース(無料)

 オープンスペースはカウンターやワークテーブル、ソファー席と、気分・状況に合わせていろんな場所を選べるような空間となっている。

施工期間 2020年11月~2月
施工面積 65・0㎡
総工事費 900万円

 同マンションでは、新たなスペースを「ワークルーム」と名づけ、家の中で仕事をすることが難しい家庭が、会議や集中したいときに使えるスペースとして定義している。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年7月号掲載)

 

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