屋根防水の診断方法は? (2004年10月号掲載)

築33年目の旧住都公団分譲団地です。建物の屋根防水がどのように劣化しているか、診断を依頼したいと思いますが、診断方法はどのようなものがありますか。

 

新築時の屋根防水は、露出アスファルト防水が施されており、築後33年が経過しているので、一度は全面的な改修工事が実施されていると思われます。

1.資料調査

現在の屋根防水がどのような工法・材料で改修されているかを、改修工事の竣工図書(見積書・仕様書・工事写真等)で確認する「資料調査」が必要です。

露出アスファルト防水で改修されている場合は、既存防水層を残す「かぶせ工法」または既存防水層を撤去する「撤去工法」が採用されていると思われます。屋根の断熱性能向上等のために、屋根スラブの上に断熱材を施す「外断熱工法」を併用している場合もあります。防水材料は、ストレッチルーフィングや改質アスファルトシートが使用されます。

2.目視調査

目視により、漏水の原因となる防水層端末部の剥離、防水層の破断・損傷の有無を調査します。また、漏水の原因へとつながる可能性のある防水層の膨れ、保護塗装の劣化、防水層表面の劣化(砂落ち、摩耗)状況を調査します。

3.住戸内への漏水の有無等の調査

住戸内への漏水の有無の情報を集め、確認します。漏水している場合は、漏水箇所・漏水の開始時期・漏水量・漏水が生じる条件(風向・降雨量等)等を居住者へのヒアリング等により調査します。補修を行う際は、漏水の原因と思われる箇所に散水等を行い、漏水している箇所を特定する事が必要です。

4.防水層の詳細調査

防水層の材料の劣化(物理的低下状況)を確認する場合があります。露出アスファルト防水の場合は、防水層の一部を切り取り、防水層の引張り強さ、アスファルトの軟らかさ(針入度)等の低下を調査します。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(2004年10月号掲載)

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