給排水設備と大規模修繕工事を予定。実施時期の検討方法は? (2006年2月号掲載)

Q.

第1回目の大規模修繕工事を10年前に実施した、経年20年目の10階建1000戸のマンションです。今後の修繕計画として、給排水設備改修工事及び第2回目の大規模修繕工事を予定しています。修繕工事の必要性を区分所有者に理解してもらうために、どのような方法がありますか。また、どちらの工事を先に実施する必要があるかの検討は、どのようにしたらよいのでしょうか。

 

A.

建築及び設備の劣化診断を行い、現状での劣化状況を知り、これらをもとに修繕基本計画を作成し、並びに修繕積立金の状況を把握し、建築及び設備の修繕工事の修繕時期・工事範囲・内容等の方向性を検討することが必要です。

建築(屋根防水・外壁塗装等)は、目視調査・バルコニー内立入調査・アンケート調査・修繕歴調査から部位別の修繕時期(1~2年以内・3~5年等)、概算工事費を算出し、大規模修繕工事の修繕時期・工事範囲・内容等の方向性を決めることが必要です。給排水設備は、目視調査・住戸内立入調査・アンケート調査・修繕歴調査や配管の材質から一般的な耐用年数を知り、必要に応じて、給排水管の劣化状況を把握するため詳細調査(配管の切断やファイバースコープ(内視鏡)により管内の錆や腐食の状況の確認)を行います。給排水配管の改修の場合は、改修範囲と共用・専有部分の扱いや、改修工法・改修配管材料・設備システム・改修経路のメリット・デメリット、工事費(概算)を検討し、大規模修繕工事の修繕時期・工事範囲・内容等の方向性を決めます。これら建築・設備の検討結果から総合的に判断し、建築と設備のどちらの修繕を先に実施するかの合意形成をはかることが必要です。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(2006年2月号掲載)