排水管をファイバースコープで調査。映像では不具合の箇所がよく分からない。補修工事の必要性はあるのか? (2008年2月号掲載)
Q.
築16年目のマンション・1階の居住者です。
排水管清掃を毎年1回実施しています。
昨年、排水管清掃業者から、台所床下排水管(塩ビパイプ)清掃時に清掃用ホースが引っかかるので、排水管に不具合があるとの報告を受けました。
管理会社はファイバースコープを排水桝から入れてビデオカメラで台所排水管内を撮影しました。
管理組合・理事会と1階居住者がビデオカメラで撮影した映像で説明を受け、補修工事の見積もりが提出されましたが、どのような不具合なのかよくわかりませんでした。
その後、自宅の台所排水管に大量の水を流しましたが、支障なく排水桝に流れました。補修工事の必要性はあるのでしょうか。
また、工事を行う場合、どのような注意が必要でしょうか。
アドバイスをお願いします。
A.
1階・床下排水管の具体的な不具合状況について資料がないので、工事の必要性の有無について不明です。
1階・床下排水管(塩ビパイプ)の不具合事例として、(1)排水勾配の不良、(2)排水管のたわみ、(3)排水管内の付着物の堆積、(4)腐食による穴あき、(5)破断 等があります。
今後の排水管の修繕資料としても、不具合の状況や原因を知ることが大切です。今回の場合は、管理組合にビデオテープが提出されていないことから、調査者から、ビデオテープや具体的な不具合状況・位置・原因についての情報を入手することが必要です。
床下にコンクリートの床・壁(梁)で作られている空間(ピット)がある場合には、この中に作業員が入り排水管の取替ができます。1階・床下排水管がコンクリート床下の土の中に埋設されている場合は、住戸内居室のコンクリート床を撤去しての工事が必要となります。このような場合には、工事中一時的に仮住居に移転することが必要な場合があります。また、排水管の不具合位置が特定できる場合、工事方法によっては住みながら工事を行える場合がありますので、不具合の位置や工事計画を十分検討することが必要です。
回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2008年2月号掲載)