給排水管改修工事を実施したいが、工事範囲の意見がまとまらない (2008年4月号掲載)

Q.

築28年目の10階建てのマンションです。
給排水管改修工事を共用部のみとするか、住戸内を含めて実施するか管理組合で検討していますが、意見がまとまりません。
また、すでに台所や浴室を改修した住戸では、給排水管取替を行った住戸もあります。
今後、住戸内を含めて実施するか等の方向性をどのように検討すればよいのでしょうか。

A.

給排水管改修工事を共用部のみとするか、住戸内を含めて実施するかは、ステップを踏みながら検討を行うことが必要です。

第1ステップとして、給排水管の材質や劣化状況について調査し、修繕の必要性や実施時期の検討を行います。
調査は、竣工図による管種・配管ルートの確認、修繕歴の確認、配管が目視できる箇所の劣化状況や内視鏡や配管切断による錆状況の確認を行います。

第2ステップとして、劣化状況から工事範囲(共用部のみか住戸内を合わせて実施するか等)の検討を行います。
工事範囲の検討のためには、現在の修繕積立金、工事方法(露出又は隠蔽配管)、配管ルート、配管材料、工事費(共用部・住戸内)、住戸内を共用部と同時施工する場合のメリット・デメリットの比較検討を行い、管理組合として共用部・専有部(住戸内)の給排水管改修工事を同時施工で行うか等の方針を決定します。

また、既に住戸内の給排水管を取り替えている住戸に対しての対処方法についても検討します。
第3ステップとして、第1・2ステップでの検討結果(管理組合方針)についての説明会を管理組合員に行い、合意形成をはかります。
第4ステップとして、具体的な改修設計・工事予算の算出を行い、見積会社の選定、見積依頼、施工会社選定、工事着工となります。
これらの検討を実行するためには専門家をパートナーとしての、協働作業が必要です。

回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2008年4月号掲載)