計画修繕では11年後の工事だがアルミサッシに不具合が多い 改修工事の進め方、方法を教えて(2009年12月号掲載)
Q
築34年のマンションです。アルミサッシに、「室内にすき間風が入る」「台風等の強風時に雨が室内に吹き込み、振動によりガタガタ音がする」「障子(アルミサッシ窓)の開閉が重い」等の不具合が多く見られます。長期修繕計画では、アルミサッシの取り替えは45年目に計画されていますが、現在検討している第3回目の大規模修繕工事で、気密材・クレセント・戸車の部品交換や点検、調整、サッシ・ガラスの解体クリーニングを行うか、あるいは新しいアルミサッシに取り替えるか、理事会で意見がまとまりません。どのようにしたらよいのでしょうか。また、費用の目安やどのようなサッシの改修方法があるのかを教えて下さい。
A
アルミサッシ改修において、部品交換等によりメンテナンスし、新築時の性能に戻すか、現在の新築マンションのアルミサッシと同様なものに取り替え、耐風圧・気密・水密・遮音の性能を向上させるかは、ステップを踏んで検討することが必要です。
第1ステップとして、アルミサッシの劣化状況について、室内への立ち入り調査やアンケート調査(居住者がどのような不具合を感じているか、アルミサッシの性能向上を希望しているか等)を行い、不具合等現状を把握します。第2ステップとして、アルミサッシの部品交換や調整等の補修をする場合と、アルミサッシを交換する場合の、コストや耐用年数、性能を比較検討し、理事会での改修方針の合意形成をはかります。新しいサッシに交換をすると、断熱性能や防犯性能の向上もできます。60~70㎡の住戸の検討事例として、改修費用は、部品交換等のメンテナンスによる改修は20~30万円程度、新しいサッシに取り替える改修(旧アルミサッシの枠を残し、この枠に新しい枠を取り付ける「カバー工法」の場合)では80~100万円程度でした。
アルミサッシの改修工法としては、カバー工法の他にも、既存のアルミサッシのガラスを複層ガラスや真空ガラスに取り替え、断熱性能や結露を少なくする方法、既存サッシの外側や内側に新しいサッシを取り付ける方法等があります。
回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2009年12月号掲載)