長期修繕計画を専門家が作成 高額の修繕積立金が必要と計画 近隣管理組合に比べ髙すぎるが(2010年4月号掲載)
Q
築20年目のマンションですが、長期修繕計画を専門家に作成してもらったところ、築28年目からは、平均戸あたり4~50000円/月位に修繕積立金を値上げしなければならない計画となりました。
近隣の管理組合の積立金額を聞くと、この1/2から1/3位です。今回の長期修繕計画見直しでは、全戸一斉に実施した方がよい専有部の修繕工事(専有部の給水管や排水管・ガス管の取換え等)を、組合管理扱いとし、修繕積立金から支出する計画にしましたが、このように高額の修繕積立金が必要なのでしょうか? また、もう少し低額にする方法はないのでしょうか?
A
修繕積立金の月額は、建物の経年数・形状・附帯設備等により様々で、一概に同等戸数の他のマンションの積立金とは比較は困難です。
築20年目に作成する長期修繕計画は、築21年目から築45~50年目までに必要な修繕費を賄う修繕積立金を算出することになります。築20年目までは建物の外装や防水の修繕費位で済んでいたのが、アルミサッシや扉の取替・給排水・ガス・電気・エレベーターの取替工事が加算されてきますので、一番修繕費がかかる時期とあります。
また、建物の形状により修繕対象面積が2~3倍の差があります。ご相談の建物は、3棟で構成され立面的に段差や凹凸が多く、その表面積(共用部の屋根・外壁・床・天井の合計面積)を見ますと、280㎡/戸あります。オーソドックスな形状(平面形状が長方形で、雁行や段差・凹凸が無く単棟型で5階建以上)のマンションでは100㎡/戸前後ですので、建物の修繕費だけでも一般的なマンションより高くなる要因となっています。
専有部の給排水管・ガス管などは、組合管理で修繕することは望ましいのですが、どうしても積立金が高額になります。そのため、別枠積立扱いにしたり、一時金徴収にしている管理組合もあります。
この時期の積立金を抑えるには、可能な限り、部分修繕等で一斉更新を先送りする事が考えられます。
回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2010年4月号掲載)