超高層マンションの戸境壁の下地ボードは要注意(2011年8月号掲載)
Q
超高層マンションに住んでいます。今回の大地震で室内の壁紙が破れてしまいました。内装業者に壁紙の張替えを頼んだところ、壁紙が破れたのは下地のボードのずれや割れが原因で、下地ボードの取替や補修も必要であると言われました。
住戸内間仕切の下地ボードは専有部だと思いますが、外壁面や戸境壁面の下地ボードも専有部でしょうか?
A
「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」では「専有部分とは区分所有権の目的たる建物の部分」とあるだけで、専有部範囲の明確な法規定はなく、国交省がマンションの管理規約の参考として出しているマンション標準管理規約の第7条に、「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部とする」と記載されており、これを一般的に採用しています。
これに準ずれば、外壁や戸境壁のコンクリート躯体の内側に張られた下地ボードも専有部となります。
しかし、超高層マンションでは建物軽量化のために、戸境壁をコンクリートで造らず、金属の骨組みを組み、その両側にボードを張り戸境壁としている場合があります。
この場合は、この下地のボード(両側から2枚重ね張り等)により戸境壁の耐火性能や遮音性能・防火区画機能を確保しています。
性能確保のためのボードの厚み・規格・工法等にも細かく基準が定められています。
このような戸境壁は、壁紙の下地ボードも共用部とするべきと考えます。
各専有者が上記各性能が確保できないボードや工法で張り替えてしまうと、耐火性能・遮音性能等が維持できなくなり、建物全体が違法建築物となるからです。
戸境壁がコンクリートでない建物かどうかは、建物の竣工図や建築確認通知書などで確認するか、販売会社・元施工会社に確認してください。
回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 近藤武志
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2011年8月号掲載)