アルミサッシの取替えに際し、その選択方法は?(2011年12月号掲載)
Q
現在、築35年のマンションです。管理組合でアルミサッシの取替を検討しています。予算に限りがありますので、どのような仕様があり、どのようにその選択をすればよいのかをお教え下さい。
A
アルミサッシの取替費用は高額で、戸当り60万円位~100万以上とサッシの数と大きさ・形状によりかなり幅があります。長期修繕計画などで、これらの出費がその後の修繕に支障を来さないで可能かを検討の上、取り替え時期を決めることが必要です。
仕様と選択肢としては、
◎サッシの性能の選択遮音・気密・水密・耐風圧・防火性能等
これらは、建物の高さ・立地条件・防火制限等で大半決まってきますが、防音性能・気密性能(エアタイトサッシ)は選択が必要です。
◎取替工法の選択
(1)既存のサッシ枠・障子(サッシのガラス戸)共に撤去し、取り替える工法(既存と同等の有効開口が確保できるが高額で工事期間も長くなる)
(2)既存サッシ枠は残し、その枠の開口内に新しいサッシ枠と障子を取り付ける工法(既存サッシより有効開口高さ・巾が狭まるが一般的な工法)
(3)既存サッシ枠を残し、障子だけを取り替える工法(低額だが、採用には条件が多い。又既存サッシ枠の残存性能に頼る)
右記の工法がありますが、いろいろな制限から一般的には(2)の工法が選択されています。
◎ガラスの性能の選択
(1)透明ガラスとくもり(型板)ガラス。部位により透明ガラス(眺望性)かくもりガラス(プライバシー保護)かの選択が必要です。
(2)ガラスの厚み。建物の高さ(風圧力)・ガラスの大きさにより厚みが決まります。
(3)網入ガラス。防火制限がある場合は網入ガラスにする必要があります。防犯性を期待して選択する例がありますが、一般的に防犯性は低減すると言われています。
(4)単板ガラスとペアガラス。普通の単板ガラスと2枚の単板ガラスを間に空隙を設け張り合わせたガラス(ペアガラス)とがあります。前者は安価ですが、冬場にガラス面の結露が発生しやすく、後者は高価ですが、断熱性が高くガラス面の結露を低減できます。
※ペアガラスを使うとガラスの結露は低減されますが、押入内や北側天井の隅・サッシ枠の結露が増加する場合があるので、要注意です。
実際には、更なる細分・性能区分がありますが、(1)~(4)の組み合わせでガラスの選択をします。
◎色の選択
サッシのアルミの色(アルミ色、ステンカラー、ブロンズ色、黒色、白色等)を、建物のイメージ等を考慮して選びます。色により若干価格が異なります。
◎付属金物の選択
サッシの錠前(クレセント)や取手など付属金物も、高齢者に操作しやすいものや防犯性を高めたものなど多様な製品が販売されていますので、吟味が必要です。
回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2011年12月号掲載)