長期修繕計画を修繕委員会で作成できるか?(2012年8月号掲載)
Q
昨年第1回目の大規模修繕工事を終え、管理組合の修繕委員会で色々な資料を参考にして、簡単な長期修繕計画を自分たちで作成し、今後の修繕積立金を検討してみようと思います。給排水設備と電気設備は専門家が修繕委員にいますが建物関係がおりません。
そのため修繕計画の大規模修繕費や鉄部塗装費は直近の実績見積があるのでその費用を流用しようと思いますが、今後繰り返される第2回目や3回目の大規模修繕やその間に実施する鉄部塗装の費用は物価変動は考慮しないとして過去の実績見積金額で計画して良いでしょうか?
また今後必要な右記以外の修繕項目を、業者などから見積もりを取ってみようと思いますが、どのようなものがあるのでしょうか?
A
大規模修繕工事費が1回目と2回目以降とは同額でよいか?ですが、次のような事から同額にはなりません。
(1)第2回目以降には金物類(樋・換気金物・集合郵便受・室名札等)の劣化が進み取替えが増えて来ます。
(2)重ね塗りしている外壁塗装も第3回目頃にはすべて剥離して塗り直さなければならなくなります。塗膜の剥離は塗装する費用より高額になります。
鉄部塗装も、塗重ねた塗膜の厚みで鉄扉が枠にこすれたり、塗膜が根こそぎ剥がれたりしますので、既存塗膜を剥離するか鉄製品そのものを取り替える事が必要になります。その時期は鉄部の劣化状況により判断しなければなりません。
また、建物の修繕で大規模修繕や鉄部塗装以外には大きなものとして以下のような修繕・改修があります。
屋根防水の改修・傾斜屋根の葺替・アルミサッシの取替・玄関扉や共用施設扉の取替・窓の面格子の取替・各所の手摺の取替・共用施設の内装改修・バリアフリー化等の改善工事など長期修繕計画を理事会の諮問機関(修繕委員会)で作成する事は、自らのマンションを熟知出来、維持管理への関心度が高まり理想的だと思います。
しかし長期修繕計画に大きな項目漏れや的外れな修繕費、長すぎたり短すぎる修繕周期があると、修繕積立金に大きな狂いが生じて来ますので、自分たちで計画するとしても、修繕の専門家のアドバイスを受けた方が良いと思います。
回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2012年8月号掲載)