ユニットバスから外壁に漏水(2013年4月号掲載)
Q
浴室の防水が劣化し、10年程前にユニットバスに取り替えました。大規模修繕工事が始まり、工事会社から浴室から外壁に漏水が見られるので、浴室防水の修繕が必要である旨連絡をもらいました。浴室の防水は、管理規約上専有部分として自己負担の工事になります。ユニットバスでも漏水するのでしょうか? もしユニットバスからの漏水だとしたら取り替えなければ直らないのでしょうか?
A
マンションでユニットバスが使われるようになる以前は、在来工法(床から腰壁までをアスファルト防水し、タイル等で仕上げる浴室の作り方)の浴室が主流でした。その浴室にユニットバスを組み込んで使用している例は多く見られます。
新築時からユニットバスが設置されている場合は、ユニットバスの排水は共用排水管まで配管で接続されていますが、在来工法の浴室に後からユニットバスを設置する場合、ユニットバスからの排水パイプを、元の浴室の排水口に差し込んでいる場合が大半です。
このため、排水パイプが排水の勢いで排水口から抜けたりすると元の浴室の床に排水が流れ、防水が劣化していると漏水してしまいます。また、排水パイプを差し込む際、元の排水口(排水トラップ)の椀を取り除いてしまう場合が多く、排水パイプと排水口の接続部の密封が悪いと共用排水管から湯気が逆流して、ユニットバスと元の浴室の壁との間に湯気がこもり、外壁面や階段室との境の壁など外気で冷える壁面に結露水が大量に発生してしまいます。この結露水が壁面のひび割れや床に流れて劣化した防水層から漏れ漏水が発生する場合があります。
また、ユニットバスが劣化し、床や壁パネルにひび割れが発生したり、パネルのつなぎ目に隙間が出来るとユニットバスから元の床面に水が漏れ、前述の漏水につながります。
これらの補修方法ですが、排水パイプの不良の場合は、ユニットバスを解体し、排水パイプを堅牢に排水口に接続し、湯気漏れ・水漏れの無いようにしなければなりませんが、ユニットバスの構造によっては堅牢な接続が困難な場合が有ります。この場合はユニットバスの取替が必要です。
また、ユニットバスにひび割れやパネルの隙間がある場合は、その部分をシールし一時しのぎは出来ますが、あまり長期耐用は期待できません。比較的新しいユニットバスならパネルの取替も出来ますが、10年以上前の製品ですと純正パネルの入手が難しく、ユニットバスの取替になってしまいます。
いずれの場合もユニットバス取替になる可能性が高いのですが、取替に際しては、前述の堅牢且つ水密性の高い排水接続が出来る、床パネルの一部が点検口になっている器種を選択する事が必要です。
回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2013年4月号掲載)