専用使用部分の範囲とその管理(2013年8月号掲載)

Q:

 私どものマンションのバルコニー内には照明器具が付いています。最近、「バルコニーの照明器具のスイッチを入れるとブレーカーが落ちる。共用部分であるバルコニーの照明器具なので、管理組合で直して欲しい」と居住者から理事会に申し出がありました。

 この照明器具の電源は住戸専有部分の電源回路から送られ、スイッチも住戸内に設置されています。よって、この照明器具は専有部分であり、各区分所有者が自費で直すべきものと考えますが、如何でしょうか?

尚、マンションの管理規約は、ほぼ標準管理規約と同等の内容となっています。

A:

 まず、専有部分か共用部分かですが、電源が専有部分から送られ、点滅操作も利用方法も専用で、限りなく専有部分と思われます。ただ管理規約第7条(標準管理規約と同じだとして)の専有部分の範囲で「専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。」とあります。よって、バルコニーの照明器具の配線の一部(外壁等の躯体貫通部から外部の配線)及び照明器具は共用部分にあるので専有部分では無い事になります。

 又、この照明器具(配線を含め)の管理については、もし共用部分の専用使用だとした場合、管理規約第21条(敷地及び共用部分等の管理)で、「バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。」とあり、専用使用者が自己負担で直す事になりそうですが、お問い合わせの事例からブレーカーが落ちると云う事は、配線又は器具内で漏電あるいはショートしているものと思われ、条文中の「通常の使用に伴うもの・・」に当たるかの判断が問われます。

 この規約の判断については、機会がありましたら法律専門相談員の内藤先生に補足していただく事とし、共用部分と専有部分にまたがる設備の所属や、専用使用部分の管理範囲についての判断については、その使用形態や設備の構造、一般居住者が管理可能かなどを考慮・検討し、判断基準を管理規約の付則として総会で決めておく事が必要と考えます。

 このような事例は、専用庭の管理の範囲、バルコニーの管理の範囲、玄関ドアーの管理の範囲、オートロック対応のインターホンの管理の範囲、分譲時に植えられていたルーフテラス付属花壇の植栽の管理等々、事例は多くありそうです。

回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2013年8月号掲載)