Q&A アルミ手摺の支柱に穴が開き錆汁が流出する原因は(2020年10月号掲載)

 バルコニーのアルミ手摺の支柱に小さな穴(直径1~2㎜位)が2・3箇所開いてしまいました。以前は小さな白いつぶつぶが付着していただけなのですが、だんだん大きくなってきて、鉄錆のような赤い錆び汁が流出してきたので、白いつぶつぶを削り落としたら、穴が開いていて、その穴から錆び汁が流れ出ていました。

 前回のQ&Aの面格子の錆びと同じで表目に汚れが付いたままにしていたからでしょうか?穴が開いたものを補修出来るのでしょうか?

 アルミ手摺は経年と共に支柱に白い斑点が出たり、小さな穴が開いたり、支柱根元のコンクリートがひび割れたり、根元から水が流出したりする事があります。これは手摺表面が汚れていたり、手摺の中に雨水が流入する事により発生します。表面の汚れによる錆は比較的軽度で表面だけの腐食ですが、手摺内部からの錆びは手摺の構造上重大な損傷につながる危険性があります。

 今回のお問い合わせの件は、白い斑点部に穴が開き、中から赤い錆び汁が流出しているとのことですので、表面の汚れによるアルミの錆びだけではなく、手摺支柱の中に雨水が溜まり、支柱に内部から孔食(局部的に材料の奥深くまで腐食し穴が開くこと)が発生したものと考えられます。

 赤い錆び汁は、アルミ手摺支柱内に補強のため内蔵している鉄製の心材(パイプ)が錆びて錆び汁が流出してきたものです。手摺支柱には横材を取り付けるためのビス穴等から雨水が中に浸入し支柱内に溜まってしまうことがあります。支柱内部に雨水が溜まると鉄製の心材が錆び、さらに根元のコンクリートに雨水が浸透し鉄筋や手摺の固定金物を錆びさせ、根元コンクリートがひび割れたり、そこから水が滲み出てきたりします。

 また、外部のアルミ支柱材と内部の鉄製補強芯材の間の空隙に雨水が溜まると、鉄とアルミの異種金属が水を介在し接触し電気的に腐食(鉄が電位の高いアルミを浸食する)が発生します。これが支柱に出来た穴(孔食)の原因です。

 支柱内部に外部から雨水が入らないようにするのは難しく、一般的に支柱内部に雨水が溜まらないように樹脂(エポキシ樹脂)を充填し、樹脂充填部の上部に水抜き穴を設け、流入した水が抜けるようにする方法がとられます。

 尚、樹脂の充填も補強芯材内部には容易に充填できますが、補強芯材とアルミ支柱の間の空隙に樹脂を充填することが難しく、その工法が確立していません。

NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

集合住宅管理新聞「アメニティ」2020年10月号掲載