建物Q&A 排気口廻りの外壁や天井の汚れを防止する方法は?(2021年6月号掲載)
Q
排気口廻りの外壁や天井が汚れます。一昨年大規模修繕工事で外壁の塗装を塗り直し綺麗になったのですが、また排気口廻りが汚れてきました。バルコニー面などは踏み台を使い手の届く範囲は清掃出来ますが、バルコニーの無い外壁面は清掃出来ません。又、他の住戸でも、揚げ物料理が多いのか著しく油汚れが付いています。
排気汚れを防止する方法は無いのでしょう?
A
住戸内の換気扇と外壁の排気口とはダクトというパイプでつながっています。換気扇に吸い込まれた排気の汚れが、ダクトを通って排気口から排出された際、外壁や天井面に付着してしまいます。又、長年の間にダクト内にも、台所系統では油煙の油が付着し、トイレ・浴室合流系ではトイレットペーパーの繊維がダクトに付着し、そこに浴室の湯気が浸透しカビが生えてきます。これらの汚れが排気と共に排出され、より一層汚れの元となっています。
外壁などの汚れ防止には、最近排気気流を外壁や天井に向かわない様にする形状の排気口金物が販売されています。このような排気口に取替えるのが一つの方法です。又、ダクト内に付着した汚れを放置すると排気口金物を取り替えても、ダクト内の油汚れなどが流出したり、カビが吹き出したりする場合が有ります。ダクト内の定期的な清掃が必要です。
換気扇やレンジフードの清掃は日常行っていると思いますが、ダクト内の清掃は専用道具を持った専門業者でないと出来ません。これらの方法は、バルコニーがない外壁面などは足場を設置する大規模修繕時でないと出来ません。
又、排気ダクトは一般的に専有部であるという見解が主流ですので、この工事は希望者負担のオプション工事にする場合と、修繕積立金を使って全戸一斉に行う場合が有ります。
大規模修繕時には、塗装や防水だけで無く種々の不具合をあらいだし、改善する工事を行う事が大切です。
回答者:NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2021年6月号掲載)