建物Q&A 修繕積立金は専有面積比率でなくても良いのか?(2024年6月号掲載)
Q
現在当マンションは住戸により専有面積に少し違いがありますが、修繕積立金は全戸同額としています。多くのマンションでは専有面積比率で修繕積立金を負担しているようですが、修繕積立金の負担割合は法令上何か規定があるのでしょうか?専有面積が違っても全戸同額負担には問題は無いのでしょうか?
A
修繕積立金の各住戸の負担割合は、一般的にはその住戸の専有面積比率で負担しているマンションが多数を占めています。これは区分所有法第14条で「共用部分の持分の割合」は専有部分の床面積の割合によるとしている事によると思われます。共用部分の修繕のための修繕積立金は、共用部の持分相当に負担すべきと言う考えだと思います。
尚、区分所有法第14条の第4項に「この規定は規約で別段の定めをすることを妨げない。」とあり、管理組合で別の規約を制定すれば専有面積比率に修繕積立金を決めないでも良いことになります。
初期の団地型マンションなどでは、ほとんどの住戸が同プラン・同面積だったため、多少の専有面積の違いがあっても全戸同額にしてきた経緯があります。
前述のように規約を制定すれば、住戸の専有面積比率でなくてもよいのですが、不当に不均衡な負担割合は無効という判例があるようですので要注意です。
ある比較的新しい団地型マンションでは、中層タイプ住棟とテラスタイプ住棟が混在し、実際の専有面積当たりの修繕費はテラスタイプ住棟の方が高額になり、テラスタイプの修繕積立金の負担が大変なので、同じ団地内なのだから互助して行こうと、どちらのタイプも同額の専有面積比率の修繕積立金にしている例もあります。この例は専有面積比率上均等ですが、建物の形状が異なり、住んでいる住棟の工事費負担は均等とはなりません。
専有面積比率ではない修繕積立金を採用している場合は、総会で合意形成しておくことが必要です。
NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2024年6月号掲載)