建物Q&A 窓サッシの断熱化への助成金(2024年10月号掲載)

 当マンションは築50年経過し、新築時のままの窓サッシで、冬場には窓からの冷気やガラスの結露が著しく、また夏場には冷房の利きが悪く設定温度を20度以下にしても、室温は蒸し蒸ししているありさまです。昨今地球温暖化で毎年最高気温が上昇し、劣悪な室内環境は更に顕著になっています。何とか窓サッシを断熱性能の高いものに取り替え、室内環境を改善したいと管理組合で思案しています。しかし、窓サッシの取替は高額で修繕積立金が足りるかが課題です。窓サッシの断熱化には色々助成金が出ると聞いていますが、どの様なものがあるのでしょうか?

 現在、地球温暖化が問題になり、毎年の平均気温が上昇しています。地球温暖化の要因である温室効果ガス(二酸化炭素CO2、窒素酸化物NOx、粉塵など粒子状物質PM)の排出量は産業・交通・家庭・業務の4部門に分類すると、家庭による排出量は産業に次いで2番目に多いとされています。家庭での温室ガス排出要因は電気エネルギー・ガスエネルギー・灯油エネルギーの消費です。これらの家庭でのエネルギー消費を軽減する方法は、住宅の断熱化が大きく貢献します。その一手法が窓サッシの断熱性向上改修です。

 住宅の適正室内温度が外気温に影響され上昇したり下降したりするのを軽減するのが外壁や窓の断熱性能です。特に窓は面積が大きいのに断熱性能が低いのが従来の住宅で、一番改善効果が期待出来ます。

 ただし、断熱窓サッシの取替は高額で1住戸当たり80万円~150万円かかると言われています。コストを抑えるには断熱効果は低下しますが、既設のサッシの内側に合成樹脂製のサッシ(インナーサッシ)を取付け二重サッシにする方法、既設のサッシのガラスを断熱ガラスに取り替える方法があります。一方断熱効果が高いのは断熱ガラス入アルミサッシへ取り替える方法、断熱ガラス入アルミ樹脂複合サッシに取り替える方法があります。

 これらの窓断熱化いずれにも助成金制度があり、2024年度現在の主なものは「環境省の既存住宅における断熱リフォーム支援事業」「国土交通省の子育てエコリフォーム支援事業」「経産省・環境省合同の先進的窓リノベ2024事業」「東京都の既存住宅における省エネ改修促進事業」等があり、各助成金を併用することが可能なものもあります。助成額は概ね改修工事費の1/3程度と言われています。全額が助成されないので、残る費用の修繕積み立て金のストックが必要です。

 これらの助成金は国等の単年度予算のため、次年度以降があるとは限りませんが、条件を変えながら現在のところ継続されています。

NPO日住協協力技術者 一級建築士 山田 俊二

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2024年10月号掲載)