住宅内リフォーム申請について(2014年4月号掲載)
Q
マンションの大規模修繕工事の際、バルコニーにガス・水道を引込み給湯器を設置している住戸やバルコニー床にタイルを貼っている住戸がありました。当該住戸の所有者に、それらを撤去し現状復旧を要請しましたが、このリフォームを管理組合に申請し許可を得て行ったと回答してきました。管理組合には古いリフォーム申請の記録がなく、その当時の理事長に聴いても記憶にないとの回答です。
このような問題が今後発生しない様なリフォーム申請の形体を取りたいと思いますが、どのようにすれば良いでしょうか?
A
この様な問題リフォーム事例は、他のマンションでも散見されます。住戸内リフォームの際、事前に管理組合に申請を提出し承認を得る仕組みを取っている管理組合は多数ありますが、申請書類の書式が明細に欠け、どこにどのような仕様でどこまでリフォームしているのかが不明瞭な申請書類が多くあります。また、過去の申請書類の保存が不徹底で問合せの事例の様な回答に対抗する証拠がなく、明らかに規約違反なリフォームでも紛糾してしまいます。
この問題を無くすにはリフォーム申請書式を工事の種類ごとにフォーマット化する必要があります。申請書はチェックリスト化し、申請内容に記載漏れのない様にし、また各住戸タイプ毎の既設給排水ガス配管及び電気配線を書き込んだ平面図を用意し、図面にリフォーム範囲・形状・仕様、設備のリフォームがある場合は、既設のどの部分の設備配管や電気配線を取替えるかを明記してもらい、必要に応じ部分詳細図を提出してもらうようにします。又、提出された申請書をチェックする体制も重要です。管理組合で十分チェックする体制が無い場合は、マンション管理・修繕に詳しい専門家と年間コンサルティング契約をし、申請書式の作成を含め申請内容を都度チェックしてもらう事も一手段です。
さらに、承認した申請書類はすべて保存して置く事が必要です。その方法としては定期的に、管理しやすく且つ大量保存出来るPDFデータなどで電子化して保存する方法があります。
回答者:NPO日住協協力技術者
一級建築士 山田 俊二
(集合住宅管理新聞「アメニティ」2014年4月号掲載)